多変量の式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 16:30 UTC 版)
一般に複数の形質は互いに相関しており、1つの形質が変化すれば他の形質も変化する。着目している形質が直接的に選択される場合に加えて、相関した形質が選択されたことによる間接的な選択の効果を考慮するには、複数の形質を同時に扱えるように、育種家の方程式を多変量に拡張する必要がある。多変量の育種家の方程式は以下のように表される。 R = G P − 1 S {\displaystyle \mathbf {R} =\mathbf {G} \mathbf {P} ^{-1}\mathbf {S} } 形質1、形質2…に対して、 S {\displaystyle \mathbf {S} } は選択差を並べたベクトルで S = ( S 1 , S 2 , … ) T {\displaystyle \mathbf {S} =(S_{1},S_{2},\ldots )^{\mathrm {T} }} 、 R {\displaystyle \mathbf {R} } は選択に対する応答を並べたベクトルで R = ( R 1 , R 2 , … ) T {\displaystyle \mathbf {R} =(R_{1},R_{2},\ldots )^{\mathrm {T} }} 、 G {\displaystyle \mathbf {G} } は相加的遺伝の共分散行列、 P {\displaystyle \mathbf {P} } は表現型値の共分散行列である。 選択勾配 β {\displaystyle {\boldsymbol {\beta }}} を β = P − 1 S {\displaystyle {\boldsymbol {\beta }}=\mathbf {P} ^{-1}\mathbf {S} } と定義すると、育種家の方程式は R = G β {\displaystyle \mathbf {R} =\mathbf {G} {\boldsymbol {\beta }}} と書ける。この形の式はランデ方程式とも呼ばれる。 β {\displaystyle {\boldsymbol {\beta }}} の i 番目の要素 β i {\displaystyle \beta _{i}} は、形質 i の直接的な選択を表している(相関した形質による間接的な選択の効果は除外されている)。
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