声部の書法との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 20:26 UTC 版)
「セクションの書法」の記事における「声部の書法との関連」の解説
声部の書法によるクラシック音楽において、声部に和声的な厚みを与えたり強調したりする目的で、セクションの書法が慣習的によく用いられている。 声部の書法において、同時に演奏されるそれぞれのパートは旋律として独立していて、音楽的に対等であり、どれが主旋律でどれが付随的な旋律というわけではない。これら独立したそれぞれのパートを声部という。クラシック音楽では、和声法が主流になってもなお、この声部書法の手法が受け継がれている。 ある声部の旋律に色合いを付けたり強調したりする目的で、声部の書法において、同種または異種の楽器で、その旋律を同じ高さまたはオクターブ離れた位置で同時に演奏させることがよくある(これら追加されたパートは和声法の連続1度や連続8度の禁則には該当しない)。 セクションの書法はこれとよく似ている。異なるのは、ユニゾンやオクターブで旋律に色彩を付ける代わりに、3度や6度離れたところに同様の動きをする従属的な旋律を配置し、和声的な方法で旋律に色合いや厚みを付けるところである。セクションの書法においては、このような従属的な旋律を受け持つパートも「声部」と呼ぶが、これは声部書法的な意味での「真の声部」ではない。独立した旋律ではないからである。 クラシック音楽において、セクションの書法が声部の書法に組み込まれることがよくある。次の譜例は2本のフルート、1本のバスーン、そしてチェロの4声部から成る音楽に思われるかもしれない。 しかし、第2フルートは、第1フルートとほとんど同じ動きをしており、旋律としての独立性を持たず、真の声部であるとは言えない。第2フルートは第1フルートに和声的な厚みや色合いを添えているに過ぎない。つまり2本のフルートが2声のセクショナル・ハーモニーを奏しているのである。 上の譜例は、実質的には次のような3声から成る音楽であると言える。 このような実質的な声部のことを実声部 a real part と呼ぶ。 バスーンをセクショナルにハーモナイズすることもできる。このようにしても実質的な声部は3声であることに変わりはない。
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