固有派生形質とは? わかりやすく解説

固有派生形質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/11 03:19 UTC 版)

祖先形質および派生形質の様々なパタンを記述する用語と分岐図 [1]

系統学において、固有派生形質(こゆうはせいけいしつ、autapomorphy)とは、ある分類群に固有の派生的な形質状態である。単一の分類群にのみ見られ、焦点を当てる分類群(、その他のいかなるクレード)に近縁な他のいかなる分類群や外群にも見られない[2] 。ゆえに固有派生形質は一つの分類群に関する派生形質である[3] 。固有派生形質(autapomorphy)という語は1950年にドイツ人昆虫学者ヴィリー・ヘニッヒによって造られた語であり、ギリシャ語の αὐτός, aut- = "自身"; ἀπό, apo = "分ける"; μορφή, morphḗ = "形" からきている。

議論

固有派生形質は単一の分類群にのみに存在するため、系統関係の情報を持たない。ゆえに、固有派生形質は系統関係の推定には役立たない。しかし、固有派生形質は共有派生形質共有祖先形質のように、対象とする分類群に関する概念である。あるレベルにおいて固有派生形質であるものは、系統樹のより下位の段階では共有派生形質となる[4]。例えば、ヘビの固有派生形質は、四肢動物を特徴づける2対の肢(これは近縁なen:Ophidia、およびその共通祖先も持っている)を消失したことである。よって、en:Ophidiaという分類群において2対の肢の消失という固有派生形質が存在する。[3]。しかしムカシヘビ上科とナミヘビ上科という分類群にとっては、2対の四肢の消失は共有派生形質である。

関連項目

脚注

  1. ^ Roderick D.M. Page; Edward C. Holmes (14 July 2009). Molecular Evolution: A Phylogenetic Approach. John Wiley & Sons. ISBN 978-1-4443-1336-9. https://books.google.com/books?id=p2lWhjuK8m8C 
  2. ^ Futuyma, Douglas J. Evolutionary Biology. Sinauer Associaties, Inc., 3rd edition. 1998. Page 95.
  3. ^ a b Appel, Ron D.; Feytmans, Ernest. Bioinformatics: a Swiss Perspective. "Chapter 3: Introduction of Phylogenetics and its Molecular Aspects." World Scientific Publishing Company, 1st edition. 2009.
  4. ^ Forey, Peter L. History of the Coelacanth Fishes. Sprinter, 1st edition. 1997.

固有派生形質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:22 UTC 版)

アクリスタヴス」の記事における「固有派生形質」の解説

ゲイツ(2011)によると、アクリスタヴスは以下の特徴によって他の属区別できる後眼窩骨基底後頭骨突起存在横方向角張った深い前頭骨縫合線前頭骨前前頭骨の間にある縫合線肥厚後眼突起側面に深い窪みがある。

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固有派生形質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 05:54 UTC 版)

ネウケンサウルス」の記事における「固有派生形質」の解説

ネウケンサウルスと他のティタノサウルス類区別する特徴は多い。以下2010年オテロによるリスト扁平な尾部後部腹側中心部をもつ; そして腓骨関節部が高度に発達する

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固有派生形質

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ダコタラプトル」の記事における「固有派生形質」の解説

大型化とは別に2015年記載はいくつかの追加特徴的な形質示唆された。第4趾の爪において腱の付着部となる瘤が小型化している。第4末節骨外側先端に向かう側の血管溝は、その長さ半分以上が完全に骨に囲まれており、筒状構造形成している。後肢の第2末節骨第3末節骨下面には鋭いキール存在する第二末節骨シックルクローは、大腿骨長さ29%に相当する脛骨の裏側には線維紋がある。これは細長く、紋の長さの9%以下の高さで構成されている。この線維の上端はフック完結する。第2中手骨では、指に接す2つ関節丘のうち、内側関節丘が外側関節丘とほぼ同じ大きさである。第2中手骨外側には、第3中手骨接続する靭帯のための浅い溝があるが、第2中手骨外側には、第3中手骨接続する靭帯のための浅い溝がある。前肢平らな状態で見ると、第2中手骨の手関節と上軸の間の縁が上面視において真っ直ぐである。歯は後縁に5mmあたり15個から20個、前縁には20個から27個の歯がある。

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固有派生形質

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ドレッドノータス」の記事における「固有派生形質」の解説

ドレッドノータス・スクラニ Dreadnoughtus schrani の尾には、種の診断使えるいくつかの特徴がある。第1尾椎は、その腹面に竜条と呼ばれる尾根有する。尾の最初3分の1では、神経脊柱基部気嚢呼吸器系一部)との接触によって形成される空洞広範囲細分される。さらに、これらの神経脊椎前方境界および後方境界は、それらを前および後坐骨関節神経弓の関節点)に接続する明確な隆起脊椎前および脊椎後)を有する。尾の中央において、椎骨前部の各椎骨向かって中柱の上延び三角形プロセス有するこのような骨は、脊柱腹側表面接し前方に見ると「Y」形をしている。"Y"の下の部分広くなっており、筋肉付着部である可能性が高い。 D. スクラニの肩甲骨前肢にもユニークな特徴がある。傾斜した隆起部は、肩甲骨内側面を横切り肩甲骨の遠端近く頂部側から基部近く底部側に延びる。最後に半径の各端部は独特の形状呈する頂部または近位端は、その後面に明確な凹状ソケット有し一方底部または遠位端は、広範に拡張され代わりにほぼ正方形である。

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固有派生形質

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ビスタヒエヴェルソル」の記事における「固有派生形質」の解説

ビスタヒエヴェルソル固有の特徴として、上下に高さのある鼻骨挙げられる。この形質は、より派生的なティラノサウルス類には見られないとされた。また、64本もの多数の歯、目の上開口部を持つ事、下顎沿って隆条を持つ事も他のティラノサウルス類異なっているとされた。

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