商鞅の非指示的カウンセリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 17:41 UTC 版)
「孝公 (秦)」の記事における「商鞅の非指示的カウンセリング」の解説
さて、衛鞅が孝公に謁見した席上のこと、衛鞅の議論が長いので、孝公はうとうとしながら話を聞いていた。衛鞅が退出すると孝公は紹介者である景監を叱りつけた。 「 おまえの客人は馬鹿ではないか。とりたてるなどとんでもないことだ 」 そこで景監が衛鞅を責めると、衛鞅は答えた。 「 わたしは帝たるの道を説いたのですが、よくおわかりいただけなかったようです 」 だが5日たつと、孝公はふたたび衛鞅を引見したいと言い出した。衛鞅はいよいよ熱を込めて説いた。しかし孝公の同意を得ることはできなかった。前回と同様、衛鞅が退出すると孝公が景監をとがめ、そこで景監は衛鞅を責めた。衛鞅はこう答えた。 「 わたしは王たるの道を説きましたが、納得していただけなかった。もう一度会えるよう取り計らってください 」 こうしてもう一度、孝公に謁見した。孝公はこんどは衛鞅の話が気に入ったようだったが、まだ彼を登用するとは言わなかった。 衛鞅が退出すると、孝公は景監に言った。 「 見直したぞ。おぬしの客人はなかなか話せる 」 衛鞅は景監に言った。 「 こんどは覇者の道を説いたのですが、だいぶお気に召した様子です。どうかもう一度、公に会わせて下さい。公のお考えがわかりましたから 」 さて、4度目の謁見である。孝公はわれ知らず議論に熱中した。議論は数日にわたって続き、なお飽きることを知らなかった。景監が不審に思って衛鞅にたずねた。 「 わが君は大変なお喜びようだが、いったいどうやってわが君のお心をつかんだのだ? 」 「 わたしははじめ公に夏・殷・周の三代をたとえにして、帝たるの道、王たるの道を説きました。しかし公は「ずいぶん悠長な話だ。とても待ってはおれん。一代のうちに名を天下にあらわしてこそ、名君と言える。帝だの王だのといって何十年何百年もかけておられるか」とお取りあいにならない。そこで、今度は強国の方策を進言しましたところ、公は喜んで耳を傾けられたという次第です。これでは殷や周の徳と比肩するというわけにはいきませぬが… 」
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