吉本隆明の啓蒙主義批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 05:12 UTC 版)
「国民的歴史学運動」の記事における「吉本隆明の啓蒙主義批判」の解説
石母田の行った農村部への啓蒙主義的な活動に関して、厳しく批判したのが吉本隆明であった。吉本は「啓蒙主義に反対する」と前置きをしながら、次のように述べている。 幻想に捉われている迷妄な大衆に対して、知識を与えてその幻想から脱却させるという啓蒙主義的な立場は、結局、新たな権力関係をつくりだし、それに対応する幻想を産み出すことになる。善や正義の立場にみずからをおき、その高みから教えを説こうとする知識人は、そうした自己正当化が権力行使の欲求への屈服であることに気づいていない。 国民的歴史学運動は「民衆と共に創り上げてゆく」という側面が無いわけではなかったが、吉本はこうした「善や正義の立場にみずからをおき、その高みから教えを説こうとする」姿勢が、「必然的に党派主義的な権力体制の構築に向かっていく」として槍玉に上げている。
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