吉四六と庄屋/火事の知らせ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/01 10:23 UTC 版)
「吉四六」の記事における「吉四六と庄屋/火事の知らせ」の解説
ある晩、吉四六は遠くの家が燃えているのを発見した。村の庄屋は火事が起きた場合に消火作業の指揮をする義務があるため、火事を見た者はすぐに庄屋に知らせなければならない決まりだったが、吉四六は何とも悠々としてゆっくりと庄屋の家へ向かい、庄屋の家に着くと玄関の前に立ったまま静かな声で「お庄屋様、お庄屋様、火事でございます」と何回も繰り返す。しばらくして吉四六の声に気付いた庄屋の家内が「こんな夜中に何を小声で呟いておる?」と尋ね、吉四六から「お庄屋様に火事だと申し伝えください」と聞くと、家内は慌てて庄屋に告げる。知らせを聞いた庄屋は飛び起きて現場に駆け付けたが、既に火事は消えており、庄屋は職務怠慢の責任を問われて奉行所から厳しいお叱りを受けた。庄屋は「お前のせいで、わしは大目玉じゃ。これからは扉といわず窓といわず力いっぱい叩いて、もっと大声で火事じゃ火事じゃと叫べ」と厳しく吉四六に迫った。それからしばらく経った夜、吉四六は丸太ん棒をつっかかえて庄屋の家へ走り、玄関の前でそれを振り回しながら「庄屋様、火事じゃ、火事じゃ、大火事じゃあ!」と叫び、その弾みで扉も窓も壊してしまう。慌てて出てきた庄屋が「分かった分かった、これ以上つつくな、家が壊れてしまう。で、火事はどこじゃ?」と吉四六に話し掛けると、吉四六は平然として「庄屋様、次に火事が起きたら、このような感じで知らせればよろしいですか?」と返すのだった。庄屋は呆れて開いた口が塞がらなかったという。
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