取得時効の立証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:32 UTC 版)
「取得時効 (日本法)」の記事における「取得時効の立証」の解説
取得時効を主張する者は上記の要件を立証しなければならないが、これは容易ではない。そこで法は要件が満たされていることを推定し(これは、無前提の推定、つまり、暫定真実である)、立証の負担を緩和する規定を置いている。まず民法186条1項において、占有者は「所有の意思」に基づき、「善意」で、「平穏かつ公然」に占有していると推定される。 したがって、取得時効の成立を阻もうとする者が反対事実を立証しない限り、これらの要件が満たされることになってしまう。つまり、他主占有(これは、最高裁判例によると、他主占有権原又は他主占有事情により判定される)、悪意、強暴、隠秘について、原所有者側が主張・立証責任を負う。さらに、占有が10年または20年の間継続していることを証明する場合にも、その期間の始めと終わりの時点で占有していたことを証明すればその間占有が継続していると推定される(これは、法律上の事実推定である)という形で立証の負担が緩和されている(民法186条2項)。 よって、取得時効を主張する者は、20年間の取得時効の場合、その始めと終わりの時点において自分が占有していたことを、10年の取得時効の場合にはそれに加えて、自分に所有権があると信じたことについて不注意な点がなかった(無過失であった)ことを主張立証すればよい。これに対して相手方が推定を覆すだけの事実を主張立証しない限り、取得時効が認められることになる。
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