前茶臼ナギと旧小渋温泉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 04:50 UTC 版)
上沢は小渋川左岸の奥茶臼山と前茶臼山(2331m)から来る支流である。その沢筋は両山の斜面でいくつにも分かれているが、そのうち前茶臼山の東斜面の沢は「前茶臼ナギ」と呼ばれる大崩壊地を源にしている。 このあたりは、諏訪湖方面から静岡県までを南北に貫いている「戸台構造線」「仏像構造線」、東西に走る「小渋断層」「茶臼断層」が入り乱れており、特に茶臼山はこれらの断層に挟まれた三角地帯に位置している。 このため前茶臼山は山頂から大きく薙ぎ落とされたように崩壊しており、2300m級の山頂から高低差800mほどに及ぶV字型の崩壊地になっている。これを「前茶臼ナギ」と呼ぶ。 上沢が小渋川に合流する地点の対岸には、旧小渋温泉(小渋の湯跡)がある。ここはかつてウェストンも入浴したと記録されている。1898年(明治31年)7月 に前茶臼ナギで大崩壊が起き、小渋温泉は土石流の直撃を受けて温泉経営者を含む10名の犠牲者を出した。温泉地はこれによって廃れ、今は下流に新しい小渋温泉が営まれている。この時の水害では後述する鹿塩川方面でも甚大な被害を出しており、製塩工場が廃業となる原因になっている。前茶臼ナギでは30年後の1929年(昭和4年)にも大災害を起こしている。
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