分子生物的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 23:28 UTC 版)
おそらく殆ど全ての滑膜肉腫の症例はt(X;18)(p11.2;q11.2)の相互転座と関係している。分子観察そのものが滑膜肉腫の定義付けであるかどうかに関してデータベースが幾つか存在する。滑膜肉腫の診断法は、通常は組織構造に基づいて行われ、t(X;18)の存在によって確認される。この18番染色体のSYT遺伝子 SynaptotagminとX染色体の3つのSSX遺伝子 Synovial sarcoma, X breakpoint(SSX1) SSX1、SSX2(SSX2)とSSX4(SSX4)の一つとの間の転座によりSYT-SSX融合遺伝子が生じる。結果として生じる融合タンパク質は、SYTの転写活性化ドメインとSSXの転写リプレッサードメインを纏めてゆく。SYT-SSXは、遺伝子発現の失調に起因する滑膜肉腫の病原性の基礎を成すと考えられる。SYT-SSX1やSYT-SSX2融合と、腫瘍の形態及び5年生存率との間には、ある程度の関連性があることが示唆されている。
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