冬最上あらあらしくも岐れずに
作 者 |
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季 語 |
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季 節 |
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出 典 |
桜騒 |
前 書 |
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評 言 |
芭蕉乗船の地として知られる新庄市の本合海の船着き場には芭蕉の「五月雨をあつめて早し最上川」の句碑のほか、道さんの 霧こむるうねり雄々しき本合海 澁谷 道 の句碑、さらに私も除幕式に参列した金子兜太先生ご夫妻の句碑がある。 郭公の声降りやまぬ地蔵渦 金子兜太 ひぐらしの網かぶりたり矢向楯 皆子 澁谷道さんのこの句は、この本合海からやや酒田の方へ下った最上川だと思う。「あらあらしくも岐(わか)れずに」は冬の最上川を伝えてこれ以上の表現はない。川の生命感、存在感、個性を充分に伝えてくれる。 高野ムツオ氏の評を借りれば「海へ向かう最上川の意志を表す」と言う。芭蕉の句に比肩する句と思う。 米袋ひらいて吹雪みせてあげる 『鴇草紙』 この句も好きだ。米袋に閉じ込められていた暗い空気と白いお米が顔を出し雪国を見回すに違いない。作者のやさしさとお米に寄せる愛情を伝えて鋭い。 |
評 者 |
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備 考 |
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