共犯における中止犯(共犯関係からの離脱)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/22 19:05 UTC 版)
「中止犯」の記事における「共犯における中止犯(共犯関係からの離脱)」の解説
共同正犯(b:刑法第60条)についても単独正犯と同様に中止未遂(ただし、単独正犯における中止犯と区別して特に「共犯関係からの離脱」と呼ぶのが通例である)の概念が認められるとするのが、通説である惹起説からは論理的な帰結である。 問題は、違法の連帯を前提とする限り、共犯者にも中止未遂の効果が及んでしまう点にあり、違法(性)減少説の難点とされる。 学説では、実行の着手前の離脱については、離脱の意思表示とそれに対応する共犯者からの承諾のみで足りると解するのが一般である。また、共謀共同正犯の場合、実行に着手した後に離脱が成立するには、単なる離脱の意思表示と承諾では足りず、共犯仲間を説得し翻意させるなどして既存の共犯関係を解消して結果との因果性を遮断することも必要であると解されている。 判例では、共謀における主要な立場にある者には離脱を認めない。 なお、以上のように、共犯における中止犯を共犯関係からの離脱と混同する見解もある。しかし、共犯関係からの離脱は構成要件該当性の問題であるのに対し、共犯における中止犯は犯罪が成立した上での刑の減免の問題である。共犯の処罰根拠をどう捉えるか、中止犯の根拠をどう捉えるかにかかわらず、これらは区別して考えるべきである(大塚裕史 「共同正犯関係の解消」『法学セミナー』747号、日本評論社、2017年)。
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