全系の磁束密度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:28 UTC 版)
強制電流ifc (forced current)と磁化Mの両方が既知とし、これら以外に磁束密度の原因となるものがないとした場合、全系の磁束密度Btotは、強制電流ifcに起因する磁束密度の成分(式(1-2)から求められる)Bfcと、磁化Mが作り出す磁束密度の成分(式(2-2-8)から求められる)BMによって、 Btot=Bfc+BM (3-1-1) と表される。 ここで、よく注意しておかないといけないことは、「強制電流ifcと磁化Mの両方が既知」という言葉の意味であるが、仮に、強制電流ifc(や、他の磁化)がない状態での磁化Miniが既知したとして、(磁化Miniが作り出す磁束密度BMini がどうなるかは(2-2-8)から計算できるが) Btot=Bfc+BMini (間違った式) は、よほど特殊な場合を除き成り立たない。要は間違いである。 式(3-1-1)より正確に書くならば、「外場の影響等により磁化が変化した後の磁化Mconが作り出す磁束密度」BMconを用いて、 Btot=Bfc+BMcon (正しい式) である。結局以下の難所は残ったままである。 (難所)元々磁化Miniを帯びている物質に、外部から磁束密度 B ext ( r ) {\displaystyle \mathbf {B} _{\text{ext}}(\mathbf {r} )} を印加したとき、最終的に、物質がどのようなMconを得るか? この問題が、実のところは難しい。つまり、強制電流が作った磁束密度や、磁化自身が作り出す磁束密度により、物質の磁化が最初の磁化から変化してしまうという問題がある。一般には。B-H曲線等の実測結果と、上記の拘束条件を考え合わせ、数値計算によって磁束密度や磁化が計算されるのである。但し、線形物質に関して言えば、上の難所は比較的簡単である。このような特殊な物質に関する問題については、次章で述べることにする。 再び式(3-1-1)について考えよう。ベクトル解析の公式から div [ B f c ] = 0 {\displaystyle \operatorname {div} [\mathbf {B} _{fc}]=0} (3-1-2a) div [ B M ] = 0 {\displaystyle \operatorname {div} [\mathbf {B} _{M}]=0} (3-1-2b) div [ B tot ] = 0 {\displaystyle \operatorname {div} [\mathbf {B} _{\text{tot}}]=0} (3-1-2c) であることが判る。即ち、磁束保存の式が満たされることが判る。
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