偽菌類の扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 01:09 UTC 版)
上記のように偽菌類という語は卵菌類とサカゲカビ類、つまり鞭毛菌類に含めていたが菌類ではないことが判明した生物群に対して与えられた名である。しかし、元々菌界に含めて扱われていたが、現在では菌類でないと判断されている、という点では変形菌もそれに当たっている。そのためか偽菌類に変形菌類としていた生物群をも含める例もある。例えば杉山編(2005)がそれであり、偽菌類に関する解説では上記のキャバリエ=スミスの説を紹介しつつも、偽菌類について述べる部分では特に議論もなく変形菌類をまとめて扱っている。これはその書が従来に菌類として扱われていた生物群を全部まとめて扱うために当然の処置だったかもしれない。Introductory Mycology の4th edition の扱いもよく似ており、分類群ごとの解説ではいわゆる真菌類の各群をすべて紹介した後、巻末の方にまず卵菌類、次にサカゲカビ類、その後ろに元変形菌類の各群を解説してある。 このような扱いはそれらの群が真菌ではないとは言え、従来から菌類学が扱ってきた群であるから、という風にも取れるが、それだけではない。特に卵菌類ではその形態や栄養摂取の様式などが真菌と共通している点が多く、広い意味での菌類、と見なした方がわかりやすい。またこの群には植物病原菌や魚介類の病原菌など産業の上でも問題になるものが多く含まれる。それらの教科書などでは伝統的な分類体系を採用する例も多く、また研究する上でも類似の手法を用いることが少なくない。 なお、やはり菌界の1員として扱われてきたが、現在では違うと判断されているものに、トリコミケス綱のエクリナ目とアメビジウム目のものがあるが、これを偽菌類として扱う例は見たことがない。
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