仏語翻訳の影響
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フランスのピエール・コスト(フランス語版) (1668-1747) による『人間知性論』のフランス語訳は1700年に出版された。この翻訳本によってジョン・ロックの経験論はヨーロッパ大陸へ普及した。『人間知性新論』を書いたドイツ人ライプニッツや、ジョン・ロックの経験論をフランスに根付かせたコンディヤックもオリジナルの英語本ではなく、コストのフランス語翻訳本で学んだ。イギリスに滞在してロックと交流のあったコストは、フランス語訳を刊行するにあたりジョン・ロック自身の校閲を受けた(ロックは4年間フランスで過ごしていてフランス語ができた)。ただこの書にはロック独自の用語やmindとsoulの微妙な使い分けなど、フランス語で正確に対応する語彙のない箇所もあったがコストは版を重ねながら改善を続けた。ボイルやニュートンなどイギリスの自然科学はすでにヨーロッパ大陸に伝わって多大な影響を及ぼしていたが、このコストのフランス語訳があってはじめてイギリスの経験論も大陸で幅広く認識されたといっていい。
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