人体蒸発説の流布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/16 01:37 UTC 版)
資料館のボランティアによると、修学旅行などで広島を訪れた子どもから、「爆心地で直接閃光を浴びた人は、一瞬で蒸発して消えてしまった」と信じているという声を聞くことがあるという。 1971年刊の広島市公式『広島原爆戦災誌』にも似たような表現が記載されている。 爆心地から半径500m以内の地域は(中略)ほとんど蒸発的即死に近く(中略)死体も骨片もあまり見当らないほど焼きつくされており、すべての物は原型をどどめず破砕されて白い灰に埋まっていた。 — 広島市、広島原爆戦災誌 第2巻 人影の石に関しても、「『人影の石』の前にいた人は一瞬で蒸発して消えてしまった」といった形で、同様の言及がなされることがあるという。 しかしこの人体蒸発説は医学的に否定されている。原爆によって爆心地付近の地表面温度は3,000から4,000度に達したと推定されているが、この高温・熱線により人体が燃えたとしても骨や炭化した組織は残るため蒸発することはありえず、また放射線の影響を考慮しても、皮膚が炎症・酷い時は潰瘍になることはあっても蒸発することはないためである。
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