乾燥の工夫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 19:11 UTC 版)
上記のような方法が伝統的な植物標本作製の手順である。しかし、乾燥の手順に非常に時間と手間がかかるのが難点である。吸い取り紙の交換しながら植物を見るのがよい勉強になるのではあるが、やはり時間を取られるのが痛い。そのために、現在ではさまざまな乾燥機が考案されている。たいていは手作りで、例えば以下のようなものであるが、布団乾燥機を使うこともある。 植物標本を積み重ねて板に挟んで紐で縛ったものを立てた時にちょうどはまるような箱を作り、箱の中には電熱器、電熱線、白熱電球などの発熱体をセットする。植物標本の間には吸い取り紙の代わりに段ボール紙を挟む。こうして標本作ったの束を、段ボールの内部の穴が縦になるように立てて箱にセットすれば、熱せられた暖気が段ボールの中を通り抜け、この時に標本を乾燥させる。段ボールではなく、専用の波板や段ボール様の専用の板を用意する場合もある。 乾燥機を使った標本は注意しないと葉がよれよれになりやすく、見苦しくなる。また、温度が高いとこげたように茶色く変色してしまう。乾燥機の1番の利点は、早く乾かすことよりも、虫や虫の卵、カビなどを殺す効果があることである。 なお、このように空気が通る段ボールを吸い取り紙代わりに挟んで、そうして固めた標本の束を自動車の上に積み上げ、適当に走ると良く乾燥するらしい。この方法で採集旅行の帰り道で標本を作ってしまう人の話を聞いたことがある。また、一部では段ボールではなく、それと同様の効果を持つ波板を金属やプラスチックで作って使っているところもある。
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