両開き扉試作車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/04 00:38 UTC 版)
1941年に製作された75021は、省電としては初の両開き扉の試作車であり、本系列としては唯一、窓上下の補強帯を廃したノーシル・ノーヘッダー車である。扉の幅は1300mmで従来車の1,100mmより広くなり、開閉時間も従来の3秒から0.5秒短縮され、乗降の円滑化に効果が期待された。窓配置も従来車とは大きく変わり、幅650mmの窓が車端部に2個、扉間に5個並ぶ配置(2D5D5D2)となった。屋根は鋼板製の張上げ式で、通風器は3列配置であるが、中央列が従来車が3個であるのに対し5個装備されていた。扉の構造は、左右の扉それぞれに戸閉め装置を設置してそれぞれ駆動するものであったが、動作に円滑を欠き、その後の増備も行なわれなかった。また、両開き扉も1両だけでは十分な効果を発揮することができず、結局戦災廃車となり、長期間放置されたが特異な車両であるため引き取り手が現れず、いつのまにか解体された。 鉄道省で両開き扉の電車が計画されたのは、これが初めてではなく、1937年度にモハ41形の全鋼製両開き扉車が計画されたことがある。結局これが日の目を見ることはなかったが、部内ではすでにこの時期に両開き扉電車の構想があったことが窺われる。
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