リストワイズ(完全ケース)削除とペアワイズ削除
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/17 05:40 UTC 版)
「代入法 (統計学)」の記事における「リストワイズ(完全ケース)削除とペアワイズ削除」の解説
欠測データを処理する最も一般的な方法は、リストワイズ削除(完全ケース削除とも呼ばれる)である。リストワイズ削除では、欠測データのあるすべてのケースが削除される。 リストワイズ削除では、有効なサンプルサイズを減らすことで分析における検出力が低下する。例えば、1000のケースが収集され、80のケースに欠損値があった場合、リストワイズ削除後のサンプルサイズは 920 である。 欠測が完全には無作為でない場合(MAR または MNAR に相当)、リストワイズ削除後に残った標本は元の標本とは異なる、偏ったものになるため、母集団を代表するものではなくなる。 欠測が完全に無作為である場合(MCAR に相当)、リストワイズ削除を用いてもバイアスは増えないが、検出力の低下はまぬがれないし、そのような場合はそもそも稀である 。 ペアワイズ削除(または「使用可能ケース分析」)では、個々の分析において、その分析に必要な変数が欠測しているケースのみを削除する。欠測データがあるケースであっても、その分析に必要な変数が欠測していなければそのケースを含めて分析する。ペアワイズ削除を使用すると、個々の分析の標本数は一致しなくなる。 ペアワイズ削除では用いる変数によって標本数が減ったり減らなかったりするので、100%を超える相関などの数学的にありえない状況を招く可能性がある。 リストワイズ削除には多くの欠点があるものの、簡単に実装できることから、欠測データを処理する手法としてリストワイズ削除が最も広く用いられている。
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