ラ・ペルスペクティヴ (ピエール・クロザ庭園の木々を通して見た景観)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/07 09:25 UTC 版)
| フランス語: La Perspective (Vue à travers les arbres dans le parc de Pierre Crozat) 英語: La Perspective (View through the Trees in the Park of Pierre Crozat) |
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| 作者 | アントワーヌ・ヴァトー |
|---|---|
| 製作年 | 1715年ごろ |
| 素材 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 46.7 cm × 55.3 cm (18.4 in × 21.8 in) |
| 所蔵 | ボストン美術館、ボストン |
『ラ・ペルスペクティヴ (ピエール・クロザ庭園の木々を通して見た景観)』(仏: La Perspective (Vue à travers les arbres dans le parc de Pierre Crozat)、英: La Perspective (View through the Trees in the Park of Pierre Crozat))は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠アントワーヌ・ヴァトーが1715年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。1923年に購入されて以来[1]、ボストン美術館に所蔵されている[1][2][3][4]。
作品
フランドル出身のヴァトーは18歳からパリに居住した。彼は、恋人たちや音楽家たちを屋外風景とともに描くティツィアーノらヴェネツィア派やルーベンスのようなフランドルの絵画をパリの美術収集家たちのもとで見、それらの絵画に登場する男女像を拠りどころに恋の駆け引きを表す詩的なヴィジョンを創出した[2]。そして、いわゆる雅宴画と呼ばれる新しいジャンルの絵画を発展させた。それは、屋外に設定された牧歌的な場面で、紳士淑女が会話をし、戯れ、音楽を奏でるという絵画である[1][2][3]。
この絵画は、ヴァトーの雅宴画の中で唯一その場所が特定できるものとなっている[2][3]。描かれているのは、ヴァトーの庇護者、収集家、財政的援助者であったピエール・クロザの別荘、パリ近郊のシャトー・ド・モンモランシーである[2][3][4]。大理石の邸宅の正面 (ルイ14世の宮廷画家シャルル・ルブランのために建てられた) が、はるか向こうに建築物が映る水面越しに見える[2]。クロザはここに美術愛好家や芸術家たちを招き、彼の膨大な美術コレクションをともに研究する集いを開いた[4]。
ヴァトーはしばしばクロザの邸宅を訪れ、そこで貴族たちの愛の喜びと戯れ、彼らの複雑な心理を直接観察し、完璧に再現した[2]。本作では、邸宅とそこに続く小道を背景に、優雅に着飾った人物たちが舞台上の俳優たちのように配置されている。様々な男女のカップルは馴れ初めの会話から合奏にいたるまで異なった恋愛の段階にいることを示しているようであるが、ヴァトーは意図的に状況を曖昧なままにしている[1]。画家は現実と幻想を境目なくないまぜにし、クロザの庭園を夢幻の園に変えている[2]。
脚注
- ^ a b c d “La Perspective (View through the Trees in the Park of Pierre Crozat)”. ボストン美術館公式サイト (英語). 2025年11月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 『ボストン美術館ガイドブック』、2009年、204頁。
- ^ a b c d “La Perspective (View through the Trees in the Park of Pierre Crozat)”. Web Gallery of Art公式サイト (英語). 2025年11月7日閲覧。
- ^ a b c 『週刊西洋絵画の巨匠 45 ヴァトー』、2010年、15頁。
参考文献
- 『ボストン美術館ガイドブック』、ボストン美術館、2009年刊行 ISBN 978-087846-731-0
- 『週刊西洋絵画の巨匠 45 ヴァトー』、小学館、2010年刊行
外部リンク
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