マイコプラズマ・ジェニタリウムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > マイコプラズマ・ジェニタリウムの意味・解説 

マイコプラズマ・ジェニタリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/28 22:03 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
Mycoplasma genitalium
分類
: 真正細菌 Bacteria
: フィルミクテス門 Firmicutes
: モリクテス綱 Mollicutes
: マイコプラスマ目 Mycoplasmatales
: マイコプラスマ科 Mycoplasmataceae
: マイコプラズマ属 Mycoplasma
: M. genitalium
学名
Mycoplasma genitalium

(Tully et al., 1983)[1]

マイコプラズマ・ジェニタリウムMycoplasma genitalium)は小さな病原性細菌で、ヒトの泌尿器や生殖管の線毛上皮細胞に生息する。1981年に初めてその存在が報告され[2]、1983年にマイコプラズマ属の新種だと同定された[1]

性行為による感染はかなり一般的であり、抗生物質によって治療可能である。

治療

2010年のアメリカ疾病予防管理センターの推奨は、アジスロマイシン1グラムの1回投薬、あるいはドキシサイクリンの7日間の投薬である[3]。その代替の投薬としてはエリスロマイシンや、エリスロマイシン・エチルコハク酸、オフロキサシンレボフロキサシンが挙げられている[3]

2011年の研究は、アジスロマイシンの1回投与(治癒失敗は最大28%)よりも、5日間の投薬法(1日目500mg、あとは毎日250mg)のほうが優れた治癒率(96%)であることを実証しており、1回投与では細菌が耐性菌となるとなることがある[4]。イギリスでは5日間のアジスロマイシン投薬に移行しており、ドキシサイクリンもまだ使われており、モキシフロキサシンも代替薬である[5]。スウェーデンの患者では、ドキシサイクリンは治癒率が男性38%、女性48%と比較的に無効であり、アジスロマイシンの1回投与も抗生物質の耐性のために処方されていない。アジスロマイシンの5日間の治療では耐性が生じなかった。[6]

以下、日本の2016年のガイドラインより説明する。マイコプラズマ・ジェニタリウムには薬剤耐性があり、テトラサイクリン系よりも、アジスロマイシンやクラリスロマイシンやなどマクロライド系が強い殺菌効果を持つが、それでも2000年前後にはほぼ100%であった有効率は低下してきており、2012年のオーストラリアの報告ではアジスロマイシン1グラムでは69%であり、日本ではそこまで失敗が頻発していないため、生殖器および咽喉での感染では1グラムか2グラムを第一選択とする[7]

出典

  1. ^ a b Tully, J. G.; Taylor-Robinson, D.; Rose, D. L.; Cole, R. M.; Bove, J. M. (1983). Mycoplasma genitalium, a New Species from the Human Urogenital Tract”. International Journal of Systematic Bacteriology 33 (2): 387–396. doi:10.1099/00207713-33-2-387. http://ijs.sgmjournals.org/content/33/2/387. 
  2. ^ Tully, Joseph G.; Cole, Roger M.; Taylor-Robinson, David; Rose, David L. (1981). “A newly discovered Mycoplasma in the human urinogenital tract”. The Lancet 317 (8233): 1288–1291. doi:10.1016/S0140-6736(81)92461-2. 
  3. ^ a b Diseases Characterized by Urethritis and Cervicitis
  4. ^ Yew, H. S.; Anderson, T.; Coughlan, E.; Werno, A. (2011). “Induced macrolide resistance in Mycoplasma genitalium isolates from patients with recurrent nongonococcal urethritis”. Journal of Clinical Microbiology 49 (4): 1695–1696. doi:10.1128/JCM.02475-10. PMC: 3122813. PMID 21346049. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3122813/. 
  5. ^ Mycoplasma genitalium Treatment Choices
  6. ^ Anagrius, Carin; Loré, Britta; Jensen, Jørgen Skov; Coenye, Tom (2013). “Treatment of Mycoplasma genitalium. Observations from a Swedish STD Clinic”. PLoS ONE 8 (4): e61481. doi:10.1371/journal.pone.0061481. PMC: 3620223. PMID 23593483. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3620223/. 
  7. ^ 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン2016」 (pdf) 『日本性感染症学会誌』第27巻1 Supplement、2016年11月、 92-93頁。

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マイコプラズマ・ジェニタリウム」の関連用語

マイコプラズマ・ジェニタリウムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マイコプラズマ・ジェニタリウムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマイコプラズマ・ジェニタリウム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS