ボルン・ハーバーサイクルより
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/26 15:40 UTC 版)
「格子エネルギー」の記事における「ボルン・ハーバーサイクルより」の解説
イオン結晶の格子エネルギーは、イオン化エネルギー、電子親和力、成分元素の原子化熱、および生成熱からボルン・ハーバーサイクルを用いて求めることができる。塩化カリウムを例に取ると以下のようになる。 塩化カリウムのボルン・ハーバーサイクル(絶対零度) (ΔH0)カリウムの原子化熱(昇華熱) K(s) → K(g) S = 90.14 kJ mol−1 塩素の原子化熱(解離熱) 1/2 Cl2(g) → Cl(g) 1/2D = 120.00 kJ mol−1 カリウムの第一イオン化エネルギー K(g) → K+(g) + e− IE = 418.80 kJ mol−1 塩素の電子親和力 Cl(g) + e− → Cl−(g) −EA = −348.61 kJ mol−1 塩化カリウムの生成熱 K(s) + 1/2 Cl2(g) → KCl(s) ΔfH0 = −436.43 kJ mol−1 塩化カリウムの格子エネルギー K+(g) + Cl−(g) → KCl(s) −U = −716.76 kJ mol−1 ボルン・ハーバーサイクルに基づくハロゲン化アルカリの格子エネルギーは以下のようになる。格子エネルギーはイオン半径が小さいほど大きく、また電荷が大きいほど大きくなる。格子エネルギーは0 Kにおける値であるが*印のものは298.15 Kにおける値である。しかし温度が異なっても1〜2 kJ mol−1程度の差でしかない。 U / kJ mol−1F−Cl−Br−I−Li+LiF 1040.67 LiCl 858.11 LiBr *817.93 LiI 760.6 Na+NaF 923.74 NaCl 785.53 NaBr 750.54 NaI 702.4 K+KF 823.75 KCl 716.76 KBr 688.78 KI 647.9 Rb+RbF *792.41 RbCl 692.06 RbBr 666.29 RbI 630.3 Cs+CsF 755.47 CsCl 667.87 CsBr 645.44 CsI 611.1 ハロゲン化銀の298.15 Kにおける格子エネルギーは以下の通りである。これらについては単純なイオン結合ではなく共有結合の寄与が大きい。 ハロゲン化銀 U / kJ mol−1AgF *970.94 AgCl *915.67 AgBr *903.03 AgI *886.57 2価陽イオンであるアルカリ土類金属化合物では格子エネルギーは大きくなる。*印のものは298.15 Kにおける値である。 U / kJ mol−1O2−F−Cl−Mg2+MgO *3760 MgF2 *3216.5 MgCl2 2747.21 Ca2+CaO *3371 CaF2 *2890.1 CaCl2 *2488.57 Sr2+SrO *3197 SrF2 *2751.45 SrCl2 *2386.3 Ba2+BaO *3019 BaF2 2603.66 BaCl2 2279.40
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