ブラックケトル酋長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 07:01 UTC 版)
「サンドクリークの虐殺」の記事における「ブラックケトル酋長」の解説
モケタヴァト(黒い薬缶、ブラックケトル)は、シャイアン族の温厚な酋長だった。彼は和平会談で表明したとおり、白人との対立を望まず、和平を結びたがった老賢者だった。 アメリカインディアンの社会は、完全合議制民主主義であり、「首長」や「族長」のような権力者は存在しない。白人が「指導者」だと思っている「酋長」(チーフ)は、実際には「調停者」であって、「部族を率いる」ような権限は持っていない。インディアンは「大いなる神秘」のもと、すべてを「聖なるパイプ」とともに合議で決定するのであって、個人の意思で部族が方針を決定するというような社会システムではない。 しかし白人たちは、インディアンとの条約交渉の際に、「酋長」を「代表」、「指導者」だと勘違いして、彼らと盟約することによって全部族員を従わせようとした。しかしこれは全くの思い違いであり、酋長は和平の提案はするだろうが、それはあくまで調停であって、部族民を従わせたり、強制するような立場ではない。そんな立場はインディアンの社会には存在しないのである。 白人はブラックケトルを「大指導者」だと勘違いしているから、彼個人の意思がシャイアン族の総意だと思い込んでいる。ブラックケトルは「調停者」として「最大限の努力」を約束しているのだから、これ以上の要求はもはや無理難題でしかないのだが、白人たちにはこれが全く理解できなかった。
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