ピートモス
ピートモス
ピートモス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/11 20:54 UTC 版)

ピートモス (英: Peat moss)とは、湿性植物のミズゴケ類などが寒冷地の湿地に堆積して腐熟分解したもの[1][2][3]。泥炭(ピート)を洗浄して選別し、乾燥、切断、ふるい分けした泥炭加工物の一種である[4]。農業や園芸用土、土壌改良材などに用いられる。
概要
工業的には泥炭地から採取した泥炭を乾燥粉砕してpH調整などを行ったものである[2]。泥炭植物にはミズゴケのほか、ヨシ、スゲ、ヌマガヤ、ヤナギなどを含むが、ほとんどの国で産出されているものはミズゴケが大部分である[2]。
ピートモスは植物が部分的に泥炭化した物質であり、主成分としてリグニンとセルロースを含んでいる[5]。リグニンは遷移金属のような溶存物質に対して高い特異的吸着性能を示すため、油の吸着保持や生分解が期待される[5]。
用途
園芸分野
保水性、通気性、保肥力が良く、土壌を軟らかくする物理性の改良のために園芸用培土として用いられる[3]。糸状菌、バクテリア、害虫、雑草種子の影響がないこと、分解しにくく効果が持続すること、二次発酵によるガス害などがないことなどの利点がある[3]。
ピートモス自体には肥料効果は無く、pH3.5から5.5の強酸性のため園芸用培土としては石灰等により中和されている[3]。
なお、ピートモスは過度に乾くと水を弾くようになるため、保存中は湿度に注意する必要がある[3]。
土壌改良剤
土壌改良剤としては土壌の保水性、通気性および保肥性の改善のために用いられる[1]。
畜産分野
畜産分野では悪臭低減のために豚舎や鶏舎などで敷料などに用いられる[6][7]。ヨーロッパではウインドレス鶏舎において生物学的脱臭法であるピートモス脱臭装置が開発され利用されている[7]。
なお、ピートモスには悪臭低減効果があるが、投入不足になると泥濘化が起こりやすくなり悪臭発生源となることがある[6]。
脚注
- ^ a b 阿部孝行、北辻政文. “ペーパースラッジの法面緑化基盤材への適用”. 農業農村工学会. 2025年3月11日閲覧。
- ^ a b c “Q.15園芸用品の土”. 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部. 2025年3月11日閲覧。
- ^ a b c d e “園芸用培土の使用方法(基礎知識)”. 全農. 2025年3月11日閲覧。
- ^ “9 土壌改良資材”. 農林水産省. 2025年3月11日閲覧。
- ^ a b 大坪政美,小西一貴,真玉洋彰,東孝寛,金山素平「ピートモスによる油の保持と生分解」『九州大学大学院農学研究院学芸雑誌』第66巻第2号、九州大学大学院農学研究院、2011年9月、11-20頁、doi:10.15017/20231。
- ^ a b “畜産公害対策試験”. 沖縄県. 2025年3月11日閲覧。
- ^ a b 福森功. “養鶏における臭気対策の現状”. 鶏病研究会. 2025年3月11日閲覧。
関連項目
「ピートモス」の例文・使い方・用例・文例
ピート‐モスと同じ種類の言葉
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