ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)の意味・解説 

ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 19:21 UTC 版)

ピアノソナタ第1番
カロル・シマノフスキピアノソナタ
初版の表紙
調 ハ短調
時代 後期ロマン派
様式 ピアノソナタ
形式 ピアノ独奏
作曲期間 1903年 - 1904年12月
献呈 スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチ
出版 1910年
出版者 ピヴァルスキ商会
演奏時間 約27分
楽章数 4
初演
日付 1907年4月19日
会場 ポーランド ワルシャワ
演者 ターラ・ネイガウス

ピアノソナタ第1番 ハ短調 作品8 は、カロル・シマノフスキ1904年に作曲したピアノソナタ

概要

シマノフスキの初期の作品の一つである。作曲当時、シマノフスキは1901年から1904年にかけて在籍していたワルシャワ音楽院ジグムント・ノスコフスキの個人教授を受けていた[1][2]。最初の3楽章は、《9つの前奏曲 作品1》よりも以前から着手していた。第4楽章は当初はロンドだったが、1904年にフーガに変更した[3]

1907年4月19日に行われた若きポーランド英語版の第2回コンサートで初演された。演者はターラ・ネイガウス[注 1][2]

また、1910年にはリヴィウで行われたショパン生誕100周年記念コンクールに応募し、第1位を獲得した[1]。ただ、1909年12月にシマノフスキはベルリンの音楽新聞社「楽界信号ドイツ語版」が主催する作曲コンクールで自身の《前奏曲とフーガ 嬰ハ短調》が第2位に入賞しており、すでに成功を収めていた[2]。しかしどちらの成功も、シマノフスキには意外なことだった[4]。コンクールの後、クラクフのピヴァルスキ商会[注 2]より初版が出版された[5]

背景

のちにシマノフスキが住むザコパネの別荘
献呈先のヴィトキェーヴィチ

当時シマノフスキはポーランド南部の山岳地方の町ザコパネに滞在しており、そこで後に親友となるルービンシュタインヴィトキェーヴィチに出会う[1]。1904年12月に完成させ、この曲をヴィトケェーヴィチに献呈した[1][3]

1910年のコンクールの応募の際には、かなりの手直しを行っている[3]。また、シマノフスキの遠い親戚であるイヴァシュキェヴィッチによれば、1917年から1918年にかけて、演奏上の困難さを考慮し一部改作したという[3]

当時ノスコフスキのもとでシマノフスキとともに学び、若きポーランドの主要な共同創設者であったルドミル・ルジツキは1904年に次のように回想している[1]

彼はとりわけショパンを熱愛し、また直後にはスクリャービンのピアノ作品を非常に好んでいました。私は、彼がピアノソナタ(第1番)を書いているとき、ピアノに向かってショパンとスクリャービンのパッセージの構造を細かく研究している彼の姿をよく見かけました。彼は、それらの音楽の中からピアノ様式の秘密を見出さなければならなかったのです。

ショパンの後期作品である《ピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58》と《チェロソナタ ト短調 作品65》に強く影響を受けている部分も見てとれる[6]

曲の構成

ソナタ形式のアレグロで始まり、アダージョ、メヌエット、トリオと続き、フーガ的なフィナーレを迎えるという、伝統的な4楽章形式を踏襲した作品である[4]。第1楽章の主題を他の楽章で繰り返し再現させることで、後期ロマン派循環形式的な工夫が凝らされている[3]

第1楽章

アレグロモデラートハ短調ソナタ形式

主題、以降部ともに4小節構造を墨守するため、やや単調な印象を与える[7]

第2主題は、メノ・モッソアモローソ。第2楽章の主題と関連している[7]

第2楽章

アダージョ変イ長調三部形式

冒頭の主題は第1楽章の第2主題に由来する[7]

中間部は、ピウ・モッソアジタート嬰ト短調

第3楽章

映像外部リンク
ピアノソナタ第1番 第3楽章 - ラファウ・ブレハッチによる演奏動画(2012年)

メヌエット変ホ長調

コモド(気楽に)と指示されているように、麗らかな曲である[3]

ロ長調のトリオは第1楽章の第2主題と関連している[7]。ピアニストの森安芳樹は、和声に見られるマックス・レーガーの影響を指摘している[7]

第4楽章

序奏と3声の二重フーガ。ハ短調。序奏は21小節間にわたって続く[8]

フーガの主題は、第1楽章の主題に由来している[8]

フーガ主題を基に曲は高揚し、壮麗に幕を閉じる[3]

主な録音

脚注

注釈

  1. ^ Natalia "Tala" Gustavovna Neuhaus
  2. ^ A. Piwarski & Co.

出典

参考文献

書籍

  • 日本シマノフスキ協会 編 『シマノフスキ 人と作品』春秋社、1991年5月20日。ISBN 9784393931097 
  • 森安芳樹; 田村進 『シマノフスキ全集1』春秋社〈世界音楽全集 ピアノ篇〉、1992年7月20日。ISBN 9784393910627 

オンラインの情報源

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)」の関連用語

ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ピアノソナタ第1番 (シマノフスキ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのピアノソナタ第1番 (シマノフスキ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS