ヒロイック・ファンタジーの流行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 06:19 UTC 版)
「サイエンス・フィクション」の記事における「ヒロイック・ファンタジーの流行」の解説
この頃のアメリカSFのもう一つの潮流としては、エドガー・ライス・バローズの火星シリーズに代表されるヒロイック・ファンタジーの流行がある。バローズは1912年、火星シリーズの第一作『火星の月の下で』(後の『火星のプリンセス』)を書く。 火星シリーズのストーリーは単純にして荒唐無稽である。主人公のジョン・カーターは、ある時肉体から魂が飛び出てしまい、魂だけが火星に飛ばされてしまう。火星は地球よりも科学力が何千年も進んでいるが、文化的には中世を想像させる。地球よりも重力が小さいため、元々体力のあるカーターは、火星ではスーパーマンも同然である。火星の悪人どもを剣でなぎ倒し、ヘリウム大帝国の王女にして絶世の美女でもあるデジャーソリスを救い、彼女と結婚して「火星の大元帥」の地位に収まる。 この作品はヴェルヌのような科学的な説明は無く、御都合主義的で設定に矛盾が多いが商業的には大きく成功した。「バローズ風の」作品は一大ブームを巻き起こし、後のSFとファンタジーに絶大な影響を与えた。バローズが生きている頃には数百人の模倣者がいて、その模倣者の中でも有力な者にはさらに数百人の模倣者がいたという伝説がある。
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