パディージャ事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:10 UTC 版)
「ルネ・ドゥペストル」の記事における「パディージャ事件」の解説
1968年、キューバでパディージャ事件が起きた。キューバ革命を支持していた詩人エベルト・パディージャ(スペイン語版)がカストロ政権批判に転じたために反体制派だと糾弾された事件である。1971年3月、パディージャは逮捕、拘留された。これに対して、マリオ・バルガス・リョサ、フリオ・コルタサル、ジャン=ポール・サルトルらの革命を支持していたスペイン語圏・フランス語圏および一部の西欧の知識人がこの思想弾圧に抗議したために、パディージャは翌月に釈放されたが、自己批判を強いられ、一転して反革命的な作家・芸術家を批判した。この転向により、キューバ支持のラテンアメリカ知識人のあいだに分裂が生じ、マリオ・バルガス・リョサらはカストロ政権をスターリン主義的だと糾弾した。ドゥペストルもその一人であり、パディージャの自己批判文を「嘆かわしいことだ」としながらも、「(パディージャは)渡された文書を読んだだけだ。私はこの不正を知っていたから、最終的にはパディージャを擁護した」と語っている。だが、このパディージャ擁護のために「革命の敵」とされたドゥペストルは、これまで関わっていた国家機関のすべての職を解かれ、ハバナ大学で歴史・文化講座を担当するよう命じられた。だが、この任命は体裁を取り繕うための方便にすぎず、警察官が学生のふりをして受講しているだけであった。なお、ドゥペストルは、2016年のカストロ死去後のインタビューで、「今年になってようやく、キューバと和解した」と語った。
※この「パディージャ事件」の解説は、「ルネ・ドゥペストル」の解説の一部です。
「パディージャ事件」を含む「ルネ・ドゥペストル」の記事については、「ルネ・ドゥペストル」の概要を参照ください。
- パディージャ事件のページへのリンク