パウサニアスの演説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 03:54 UTC 版)
パウサニアスは、 パイドロスが「エロース」を無差別に、一緒くたにして扱ってしまっているのはよくない、そこには区別がある。「エロース」と「アプロディーテー」(愛の神)は一体的な関係。 「アプロディーテー」には、「ウーラニアー」(天の女)という異名・性格と、「パンデーモス」(万人向けの神)という異名・性格の区別がある。「パンデーモス」(万人向けの神)としての愛は、「万人向け」の名の通り、またゼウスとディオーネーという男女両性から生まれ、もう一方の「ウーラニアー」より遅く生まれた年少であるその出自・性格を反映して、凡俗な「肉体に対する愛」(肉欲)であり、魂をかえりみず、少年にも、婦人にも向けられる。 「ウーラニアー」(天の女)としての愛は、ウーラノスの男根から生まれた年長としてのその出自・性格を反映して、男性のみに、その強さと理性のみに向けられる。パイデラスティア(少年愛)においても、この区別(「肉体」を愛するか、「魂」を愛するか)がある。 この関係が、「魂」のために、その「徳」「智慧」のために結ばれる時、アテナイではノモス(慣習)においても、誉とされる。 したがって、「徳」を促す「ウーラニアー」(天の女)としてのエロースは、美しく、価値があり、他の「パンデーモス」(万人向けの神)としてのエロースとは区別されつつ、特権的に賛美されるべきである。 といった旨の、プロディコスの弟子らしく言葉・概念の区別にこだわった演説を披露する。次はアリストパネスの番だったが、しゃっくりが止まらず、代わりにエリュクシマコスが先に演説を行う。
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