ニューカレドニアの旗とは? わかりやすく解説

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ニューカレドニアの旗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/06 01:11 UTC 版)

ニューカレドニアの旗
両方の旗が国旗として掲揚される
常時掲揚されるほうの国旗(フランス国旗
名称 三色旗(トリコロール)
比率 2:3
採用 1794年2月15日
デザイン 左から青・白・赤の垂直三色旗
独立組織FLNKSの旗(掲揚されない場合もある)
名称 カナックの旗
比率 1:2
採用 2010年7月13日(法的拘束力なし)[1]
デザイン 上から青、赤、緑の水平三色旗で、中央やや左に、黒色のトーテム(フレシュ・フェティエール英語版)を描いた金色の円盤をあしらう

南太平洋にあるフランス海外領土ニューカレドニアには二つの旗がある。

2010年まで、ニューカレドニアはフランスの国旗(トリコロール)のみを地域の旗として用いてきた。しかし2010年7月、ニューカレドニア議会は独立運動組織カナック社会主義民族解放戦線フランス語版(略称:FLNKS)が使う「カナックの旗」をフランス国旗とともに掲げるという請願を採択した。この請願は法的拘束力を持たなかったが、独立賛成派と反対派の間で議論となっている[1][2]ニューカレドニアの自治体コミューン)のうちほとんどは両方の旗を掲げているが、フランス国旗のみしか掲げていないコミューンもある[3]

2025年2月14日、パリ行政控訴院は、ニューカレドニアの公的な旗を定めた法律は存在しないため、現在のニューカレドニアの旗はフランス国旗のみであるという判決を下している[4]

FLNKSの党旗としてのカナックの旗

1980年にFLNKSの党旗として採用された旗は、青(パントン286C)、赤(パントン032C)、緑[5](パントン347C)の水平三色旗で、旗竿側から旗の幅の三分の一の位置に中心を置く、旗の高さの三分の二の直径の、黄色(パントン102C)の円をあしらっている。この円の中には、カナックの家の屋根に飾られるフレシュ・フェティエール英語版という飾りが黒色で描かれており、円が黒色で縁取られる場合もある。ただしフランス旗章学協会(SFV)は、フランス海軍水路海洋局刊行の『国旗及び識別標章図鑑』をもとに、黄色の円盤には黒い縁はないことを立証している[6][7]。ニューカレドニアの現地では黄色い円盤に黒縁のある旗やない旗が混在している[8]

青色は空の青を、さらにニューカレドニアを取り囲む海の青を象徴する。赤色は独立、社会主義、統一のための戦いで流れたカナックの血の色を意味する。緑色は土地と植生を、さらにその下に眠る祖先を象徴する。黄色の円盤は太陽を意味し、その中のシンボルは、カナックの家の屋根を飾る矢の一種であり、首長の家の権威の象徴でもある「フレシュ・フェティエール」が屋根に乗った姿を表現し[9]、FLNKSが独立運動を導くことを象徴する[10]

カナック旗の導入

トリコロールとカナック旗の両方が国旗掲揚台に掲げられている(ヌーメア、2011年)

1998年に締結されたヌーメア協定フランス語版では、フランスからニューカレドニアへの権限移譲やニューカレドニアのアイデンティティを表す公的なシンボル(ニューカレドニア「国旗」など)を制定することなどを定めていた。2008年、ニューカレドニア政府はヌーメア協定の条文に基づいて、公的な地域旗と地域歌(国旗と国歌に相当する)の導入について協議し始めた。当時、カナック社会主義民族解放戦線(FLNKS)の旗である「カナックの旗」が非公式なニューカレドニアの旗として広く使われていたが、FLNKSはフランスからの独立を求める組織であるため、その党旗の使用は政治的に議論を呼ぶものであり、フランス国旗のみをニューカレドニアの公的な旗として用いる状態がその後も続いた。

カナックの家屋の頂上に立つフレシュ・フェティエール

2010年7月、ニューカレドニア議会は、FLNKSのカナックの旗とフランス国旗の両方を掲揚するという法的拘束力のない「請願」(vœux)を可決した[2][1] 。2010年7月17日、フランスの首相フランソワ・フィヨンが出席したヌーメアでの式典で、フランス国旗とカナックの旗が掲げられた [11][12]。独立派の旗とフランス国旗を同時に掲げることは論争を呼んだ。国民議会のニューカレドニア選出議員ガエル・ヤノ(Gaël Yanno)は、「イスラエルのクネセトパレスチナ旗を掲げるようなもの」と呼び非難した。首都ヌーメアの市役所では、市長が出席を拒否したため、国旗掲揚台へのカナック旗の初掲揚は特別な式典抜きで行われた。オリンピックのニューカレドニア代表団が両旗を一つにした旗を初めて採用したのは2011年であった[13]。当時のニューカレドニアの政府主席フィリップ・ゴメス(Philippe Gomès)は、「この旗は我々に押し付けられたものだ。この旗はすべてのコミュニティを代表しているか? 否、カナックの旗であり、独立の旗だ」[14]と非難している。カナックの旗の採用が議論を呼んだため[11]、ニューカレドニアの恒久的な公式旗の選定をめぐる議論はその後も続いている[15]。ニューカレドニアの市民の中には、トリコロールとカナックの旗の両方の要素を取り入れた全く新しい旗を作るべきだ、ニューカレドニアにおけるカナック系住民とフランス系住民の「共通の運命」を促進するのはそのような全く新しい旗だという意見もある[11]

地域の旗

ニューカレドニアは3つの州に分かれており、それぞれの州旗がある。

その他の旗

脚注

  1. ^ a b c Nouvelle-Calédonie: Voeu sur le drapeau Kanaky de 2010”. axl.cefan.ulaval.ca. 2025年9月6日閲覧。
  2. ^ a b Voeux n° 1 du treize juillet 2010
  3. ^ Roch Wamytan: "descendre le drapeau kanak est un geste ignoble, il ne faut plus parler de destin commun!"”. Nouvelle-Calédonie la 1ère (2014年5月9日). 2025年9月6日閲覧。
  4. ^ Cour administrative d'appel de Paris. “Décision sur le drapeau de la Nouvelle-Calédonie (14 février 2025)”. 2025年9月6日閲覧。
  5. ^ Flag of New Caledonia on Country Flags.
  6. ^ Drapeau de la Nouvelle-Calédonie - 24.05.24”. Société Française de Vexillologie (SFV). 2024年5月27日閲覧。
  7. ^ Service hydrographique et océanographique de la Marine (2016). Album des pavillons : pavillons et marques distinctives des États et des principales organisations internationales. Paris: Service hydrographique et océanographique de la Marine. p. 112. http://pavillon.houseflag.free.fr/sources/Album.html 2024年5月29日閲覧。 
  8. ^ Google lens search”. Google Images. 2024年5月27日閲覧。
  9. ^ Front de Libération National Kanak Socialist (Political party, New Caledonia)” (2014年4月27日). 2016年1月31日閲覧。
  10. ^ Kanak Fleche Faitiere”. Sales arte.tv. 2011年6月6日閲覧。
  11. ^ a b c Malkin, Bonnie (2010年7月20日). “New Caledonia adopts second flag in compromise over French rule”. The Daily Telegraph (London). https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/australiaandthepacific/newcaledonia/7900494/New-Caledonia-adopts-second-flag-in-compromise-over-French-rule.html 2010年7月28日閲覧。 
  12. ^ “FLNKS flag” (フランス語). (2010年7月17日). http://www.lefigaro.fr/politique/2010/07/17/01002-20100717ARTFIG00310-fillon-hisse-les-drapeaux-francais-et-kanak-a-noumea.php 2010年7月17日閲覧。 
  13. ^ Biseau, Grégoire. “A Nouméa, Sarkozy et la question du double drapeau”. Libération. 2025年9月6日閲覧。
  14. ^ Pignot, Marion (2012年6月5日). “Législatives: quand le communautarisme fait gagner des voix en Nouvelle-Calédonie”. Slate. 2025年9月6日閲覧。
  15. ^ “La Nouvelle-Calédonie se cherche toujours un drapeau”. La Croix (France). (2012年12月4日). https://www.la-croix.com/Actualite/France/La-Nouvelle-Caledonie-se-cherche-toujours-un-drapeau-_EP_-2012-12-04-883643 2025年9月6日閲覧。 
  16. ^ @New Caledonia (France): Territorial Olympic and Sports Committee”. 2025年9月6日閲覧。

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