ドルボーコホモロジーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ドルボーコホモロジーの意味・解説 

ドルボーコホモロジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/17 14:18 UTC 版)

Jump to navigation Jump to search

数学、特に代数幾何学および微分幾何学におけるドルボーコホモロジー (: Dolbeault cohomology)は複素多様体に対するドラームコホモロジーの類似対応物で、名称はピエール・ドルボー英語版に因む。複素多様体 M のドルボーコホモロジー群 Hp,q(M, C) は整数の対 p, q をパラメータに持ち、次数 (p, q)-の複素微分形式の空間の部分商として実現される。

コホモロジー群の構成

次数 (p, q) の複素微分形式全体の成すベクトル束Ωp,q と書く。ドルボー作用素(定義は複素微分形式の項を参照せよ)は滑らかな切断上の微分作用素

として定義される。これは を満たすから、適当なコホモロジーが付随する。具体的には商空間
としてコホモロジーが定義される。

ベクトル束のドルボーコホモロジー

E を複素多様体 X 上の正則ベクトル束とすれば、同様に E の正則切断の成す層 細層分解が定義でき、そしてこれは 層係数コホモロジーを想起させる。

ドルボーの定理

ドルボーの定理はドラームの定理の複素版[注釈 1]で、ドルボーコホモロジーが正則微分形式の層に関する層係数コホモロジーに同型であることを主張する。

定理 (Dolbeault)
複素多様体 M 上の正則 p-形式全体の成す層を Ωp と書けば、
が成り立つ。

対数的微分形式に対する同様の定理もある[1]

証明
(p, q) 次の C-級複素微分形式全体の成す細層とすれば に関するポワンカレの補題により系列
は完全である。任意の長完全列と同様にこの列を短完全列に分解し、対応するコホモロジーの長完全列を作れば、細層の高次コホモロジーは消えるのだから、所期の結果を得る。

注釈

  1. ^ ドラームコホモロジーと対照的に、ドルボーコホモロジーは複素構造に近しく依るから、もはや位相不変量ではない。

出典

  1. ^ Navarro Aznar, V. (1987), “Sur la théorie de Hodge-Deligne”, Inventiones Mathematicae 90 (1): 11–76, doi:10.1007/bf01389031, http://link.springer.com/article/10.1007%2FBF01389031 , Section 8

参考文献

  • Dolbeault, P. (1953). “Sur la cohomologie des variétés analytiques complexes”. C. R. Acad. Sci. Paris 236: 175–277. 
  • Wells, R.O. (1980). Differential Analysis on Complex Manifolds. Springer-Verlag. ISBN 0-387-90419-0. 

外部リンク



このページでは「ウィキペディア」からドルボーコホモロジーを検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からドルボーコホモロジーを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書からドルボーコホモロジー を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドルボーコホモロジー」の関連用語

ドルボーコホモロジーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドルボーコホモロジーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのドルボーコホモロジー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS