ティーポット、ブドウ、クリ、ナシのある静物とは? わかりやすく解説

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ティーポット、ブドウ、クリ、ナシのある静物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/16 09:41 UTC 版)

『ティーポット、ブドウ、クリ、ナシのある静物』
フランス語: Nature morte avec théière, raisins, châtaignes et poire
英語: Still Life with Teapot, Grapes, Chestnuts, and a Pear
作者 ジャン・シメオン・シャルダン
製作年 1764年
素材 キャンバス上に油彩
寸法 32 cm × 40 cm (13 in × 16 in)
所蔵 ボストン美術館

ティーポット、ブドウ、クリ、ナシのある静物』(ティーポット、ブドウ、クリ、ナシのあるせいぶつ、: Nature morte avec théière, raisins, châtaignes et poire: Still Life with Teapot, Grapes, Chestnuts, and a Pear)は、18世紀フランスロココ期の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンが1764年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。画面下部左側に「Chardin / 17 [64?]」という画家の署名と制作年が記されている[1]。作品は1883年にマーティン・ブリマー (Martin Brimmer) から寄贈されて以来、ボストン美術館に所蔵されている[1][2]

作品

ヴェルサイユ宮殿で華麗なロココ趣味の世界が展開されていた時代に、シャルダンは生涯パリの町をほとんど離れなかった[3]。そして、身近な物ばかりを描いて、流行を追うようなこともなかった[4]

シャルダンの静物画は、厳しい造形と深い色調によって豊かな詩情を湛えている。彼は独特の厚塗りの技法を使ってあらゆる質感を描き分けたが、単なる技術を超えて、それぞれの事物が固有の生命感を持つ、不思議に静謐な世界を創造した[4]。シャルダンは自分の仕事ぶりを誰にも見せず秘密にしていたので、人々は「彼は魔術のような秘密の技法を持っている」と噂したほどであった。シャルダン自身、「私は絵具を用いて仕事をするが、心で描く」といっている[4]

シャルダンは、何でもない事物に特別な意味を与えた[1][2]。彼の静物画には、アトリエではなく台所で制作していたかのような、堅苦しくない親密な雰囲気がある。実際、シャルダンの目録には、彼がバランスや質感に注意を払いつつ細心に描いた事物のほとんどを所有していたことが記されている。また、本作のナシに塗られたオレンジ色が示すように、画家は純粋な絵具の感覚的特質を愛好していた。批評家のドゥニ・ディドロは、「おお、シャルダン! あなたのパレットの上に盛られたのは、白や赤や黒の絵具ではない。まさに事物そのものであり、あなたが筆先でキャンバスに定着させるのは空気と光である」と絶賛した[1][2]

脚注

  1. ^ a b c d Still Life with Teapot, Grapes, Chestnuts, and a Pear”. ボストン美術館公式サイト (英語). 2025年11月16日閲覧。
  2. ^ a b c 『ボストン美術館ガイドブック』、2009年、207頁。
  3. ^ 『NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華』、1986年、115頁。
  4. ^ a b c 『NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華』、1986年、110-111頁。

参考文献

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