ストーモント子爵とは? わかりやすく解説

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ストーモント子爵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 16:26 UTC 版)

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初代子爵デイヴィッド・マレー

ストーモント子爵(: Viscount of Stormont)はイギリスの子爵貴族スコットランド貴族爵位。

ジェームズ6世の寵臣デイヴィッド・マレー英語版1621年に叙位されたことに始まるが、1793年以降はマンスフィールド伯爵の従属爵位となり、現在は伯爵家嫡男の儀礼称号として現存する。

歴史

廷臣デイヴィッド・マレー英語版(?-1631)フォークランド宮殿管理官や王室会計監査官英語版を務めたジェームズ6世の寵臣である[1][2]。彼は1605年4月7日にスコットランド貴族としてスクーン卿(Lord Scone)に叙されたのち、1621年8月16日にはストーモント子爵(Viscount of Stormont)に昇叙した[1][3][4]。この両爵位にはデイヴィッドの男子に加えて、以下の極めて広範な特別継承権を兼ね備えていた[1][3]

1.初代子爵の甥サー・アンドリュー・マレー(?-1624)とその男子
  (1612年4月29日の勅許状による付加された相続権者)
2.甥アンドリューの義弟サー・ムンゴ・マレー(?-1642)とその男子
3.サー・ジョン・マレー英語版(?-1640)とその男子[註釈 1]
4.初代子爵の従兄弟デイヴィッドの長男ギルバート・マレー(?-1658)とその男子
5.初代子爵の従兄弟デイヴィッドの次男アンドリュー・マレー英語版(?-1644)とその男子[註釈 2]
6.初代子爵の甥アンドリューの異母兄弟ウィリアム・マレー(生没年未詳)とその男子
7.バルヴェアードのマレー家の紋章と姓名を受け継ぐ両系男子相続人
マレー家の邸宅スクーン・パレス英語版
7代子爵デイヴィッド。彼はマンスフィールド伯爵を継承した。

初代子爵には子がなかったため、特別継承権を有する存命の相続権者ムンゴが爵位を相続した[1][3]

2代子爵ムンゴ(?-1642)にも男子がなかったため、爵位は再び上記規定に基づいてサー・ジョン・マレー英語版の子ジェームズが爵位を襲った[1][3]

3代子爵ジェームズ(?-1658)は襲爵前の1640年に父からアナンデール伯爵を継いでいたため、子爵位は伯爵の従属爵位となった[3]。しかし、彼にも子がなかったことで伯爵位は廃絶、子爵位は三度特別規定にのっとってアンドリュー・マレー英語版の子にしてバルヴェアード卿家当主デイヴィッドに継承された[1][3]。彼以降はスコットランド貴族爵位のバルヴェアード卿(Lord Balvaird)が従属爵位に加わって、現在に至る[3][4]

4代子爵デイヴィッド(1636?-1668)1654年クロムウェルより1500ポンドの罰金を科されたが、1660年頃にはカークシャー開拓委員会委員を務めている[3]

5代子爵デイヴィッド(1665-1731)1715年ジャコバイト蜂起ののち、息子デイヴィッド(6代子爵)とともに政府に出頭している[3][5]

その孫の7代子爵デイヴィッド(1727-1796)在フランスイギリス大使を務めた外交官で、のちに枢密院議長北部担当国務大臣を歴任している[6][7]。彼は1793年に叔父の死去に伴って、1796年創設のマンスフィールド伯爵(Earl of Mansfield)を継いだため、これ以降のストーモント子爵位は伯爵位の従属爵位として存続している[註釈 3][4][8]

ストーモント子爵(1621年)

  • 初代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー英語版 (?-1631)
  • 第2代ストーモント子爵ムンゴ・マレー (?-1642)
  • 第3代ストーモント子爵(第2代アナンデール伯爵)ジェームズ・マレー (?-1658)
  • 第4代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (c. 1636–1668)
  • 第5代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (c. 1665–1731)
  • 第6代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (c. 1689–1748)
  • 第7代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (1727–1796) (1793年にマンスフィールド伯爵位継承)

以降の歴代子爵は、マンスフィールド伯爵を参照。

脚注

註釈

[脚注の使い方]
  1. ^ のちの初代アナンデール伯。
  2. ^ のちの初代バルヴェアード卿。
  3. ^ 彼の叔父ウィリアム・マレー英語版は1776年に「ノッティンガム州マンスフィールドのマンスフィールド伯爵」、1792年に「ミドルセックス州マンスフィールドのマンスフィールド伯爵」の2つの同名の爵位を得ており、そのうち後者の爵位のみ彼が相続していた。

出典

  1. ^ a b c d e f Debrett's peerage, and titles of courtesy, in which is included full information respecting the collateral branches of Peers, Privy Councillors, Lords of Session, etc. Wellesley College Library. London, Dean. (1921). p. 608. http://archive.org/details/debrettspeeraget00unse 
  2. ^ Henderson, Thomas (1894). "Murray, David (d.1631)" . In Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (英語). 39. London: Smith, Elder & Co. p. 353-355.
  3. ^ a b c d e f g h i Stormont, Viscount of (S, 1621)”. www.cracroftspeerage.co.uk. 2020年5月8日閲覧。
  4. ^ a b c Mansfield, Earl of (GB, 1776 & 1792)”. www.cracroftspeerage.co.uk. 2020年5月8日閲覧。
  5. ^ Cokayne, George Edward, ed. (1896). Complete peerage of England, Scotland, Ireland, Great Britain and the United Kingdom, extant, extinct or dormant (S to T) (英語). 7 (1st ed.). London: George Bell & Sons. p. 252.
  6. ^ Cook, Chris; Stevenson, John (1980). British Historical Facts 1760–1830 (英語) (1st ed.). Palgrave. p. 28. ISBN 978-1-137-06465-3
  7. ^ Rigg, James McMullen (1894). "Murray, David (1727-1796)" . In Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (英語). 39. London: Smith, Elder & Co. pp. 355–356.
  8. ^ Cokayne, George Edward, ed. (1893). Complete peerage of England, Scotland, Ireland, Great Britain and the United Kingdom, extant, extinct or dormant (L to M) (英語). 5 (1st ed.). London: George Bell & Sons. pp. 215–216.

関連項目


ストーモント子爵(1621年)

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「ストーモント子爵」の記事における「ストーモント子爵(1621年)」の解説

初代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー(英語版) (?-1631) 第2代ストーモント子爵ムンゴ・マレー (?-1642) 第3代ストーモント子爵(第2代アナンデール伯爵)ジェームズ・マレー (?-1658) 第4代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (c. 1636–1668) 第5代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (c. 1665–1731) 第6代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (c. 1689–1748) 第7代ストーモント子爵デイヴィッド・マレー (1727–1796) (1793年マンスフィールド伯爵継承) 以降歴代子爵は、マンスフィールド伯爵参照

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