サイクレンとは? わかりやすく解説

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1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン

分子式C8H20N4
その他の名称1,4,7,10-Tetraazacyclododecane、シクレン【Cyclen】、Cyclen、シクレン、CyclenCyclen】、サイクレン
体系名:1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン


サイクレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/25 05:11 UTC 版)

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サイクレン
識別情報
CAS登録番号 294-90-6
PubChem 64963
ChemSpider 58488 
日化辞番号 J530.921B
ChEMBL CHEMBL19880 
特性
化学式 C8H20N4
モル質量 172.27 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
Zn(II)に配位したサイクレンとエタノールの結晶構造[1]

サイクレン(cyclen, 1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン、シクレン)は、大員環化合物で、クラウンエーテル 12-クラウン-4アザ英語版アナログである。サイクレン誘導体は、より大きな環状ポリアミンであるが、繰り返し単位英語版は常に同じである(エチレンイミン)。クラウンエーテル類と同様に、サイクレン化合物はカチオンを選択的に結合することができる。これらは化学における配位子、例えば核磁気共鳴画像法 (MRI) 造影剤に用いられる。

合成

サイクレン化合物は、求核置換反応によって2つの部品を融合させ合成することができる[2]。この方法では、ジエチレントリアミン英語版 (1) の末端アミノ基は、ピリジン塩化トシルとの反応によってN-トシル保護基へと変換された後、ナトリウムエトキシドによって脱プロトン化されることによってアミンアニオン性求核剤として活性化される。ジエタノールアミン (2) の末端アルコール基は、トシル脱離基に変換することによって求電子剤として活性化される。2つの断片は、ジメチルホルムアミド (DMF) 中で接合される。もし反応が高希釈条件で行われなければ、分子内環化ではなく通常の重合が起こり長い直鎖となる。最終段階で、トシル基が硫酸によって除去される。

高希釈条件での反応は反応速度が遅いという欠点がある。この欠点は、出発物質をトリエチレンテトラミン英語版およびジチオキサミド英語版とし、ビスアミジン(ビス(イミダゾリン))を経て、DIBAL による還元および環拡大によってサイクレンを得る合成法で解決される[3]

ある研究では[4]、サイクレンはプロピレン分子スパーサーを介してアデニン共有結合し、過塩素酸亜鉛とキレートする。この錯体は、ウラシルおよびウリジンと1:2の比で選択的に結合することが出来る。この時、アデニン部分とサイクレン部分の両方で結合していることが質量分析法で確かめられている。

脚注

  1. ^ Schrodt, A.; Neubrand, A.; van Eldik, R. (1997). “Fixation of CO2 by Zinc(II) Chelates in Alcoholic Medium. X-ray Structures of {[Zn(cyclen)]33-CO3)}(ClO4)4 and [Zn(cyclen)EtOH](ClO4)2”. Inorg. Chem. 36 (20): 4579–4584. doi:10.1021/ic961368t. 
  2. ^ a b T. J. Atkins, J. E. Richman, and W. F. Oettle (1988). "1,4,7,10,13,16-Hexaazacyclooctadecane". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, 6, p. 652
  3. ^ David P. Reed and Gary R. Weisman (2004). "1,4,7,10-Tetraazacyclododecane". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, 10, p. 667
  4. ^ Chuan-Qin Xia, Xin-Yu Tan, Shan-Yong Chen, Yang Yue, and Xiao-Qi Yu (2006). “The conjugate of adenine–cyclen Zn(II) complex: its synthesis and selective recognition abilities for uracil and uridine”. Arkivoc ii: 68–76. http://www.arkat-usa.org/ark/journal/2006/I02_General/1675/05-1675HP%20as%20published%20mainmanuscript.pdf. 

関連項目

推薦文献

  • Suchý, M.; Hudson, R. H. E. (2008). “Synthetic Strategies Toward N-Functionalized Cyclens”. Eur. J. Org. Chem. 2008: 4847–4865. doi:10.1002/ejoc.200800636. 


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