キャロル・フランとは? わかりやすく解説

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キャロル・フラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 13:08 UTC 版)

キャロル・フラン
フラン(2014年)
基本情報
出生名 Carol Augustus Anthony[1]
生誕
死没
ジャンル ブルースソウルスワンプ・ポップ
職業 歌手ピアニストソングライター
担当楽器 ボーカルピアノ
活動期間 1957年 - 2021年
レーベル エクセロ、リリック、ポート、ルーレット、ブラックトップJSP
配偶者 クラレンス・ホリモン
共同作業者 ギター・スリムナッピー・ブラウンリー・ドーシージョー・テックス、クラレンス・ホリモン、ギター・ショーティー
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キャロル・フランCarol Fran1933年10月23日 - 2021年9月1日[2])は、アメリカ合衆国ブルースソウルシンガーピアニストソングライターである。

1950年代から1960年代にかけていくつかのシングルをリリースしたのち、後年は夫でギタリストのクラレンス・ホリモンとのデュオで活躍したことで知られる。彼女は、4枚のホリモンとのデュオ名義の作品を含め、1992年以降に6枚のアルバムをリリースしている[2]

来歴

ヘンリー・グレイとフラン、ルイジアナ州ラファイエットのフェスティバル・インターナショナルにて(2010年)

フランは 1933年10月23日ルイジアナ州ラファイエットに生まれた。出生名はキャロル・オーガスタス・アンソニー[1][2]。彼女は歌手のキャリアをドン・コンウェイのバンドでスタートし、ジャンプ・ブルースを歌った。その後ニューオーリンズに移住した彼女はサクソフォーン奏者のボブ・フランソワと結婚。彼の姓を短縮し、キャロル・フランのステージ・ネームで活動するようになった。ニューオーリンズのバーボン・ストリートを拠点として歌うようになったが、メキシコへのツアーにも出ている。

デビュー・シングルは1957年にレコーディングした「Emmitt Lee」で、同年エクセロ・レコードよりリリースとなった。エクセロからはシングルをもう3枚リリースしたものの成功をつかむことはできず、彼女はギター・スリムと組んで歌うようになる。しかし1959年に彼が死去すると、ナッピー・ブラウンリー・ドーシージョー・テックスらと活動をともにした[2]

続いて、フランはリリック・レコードとレコード契約を締結し、「The Great Pretender」のスワンプ・ポップ・バージョン(バックを務めたのはクッキー・アンド・ザ・カップケイクスであった)など2枚のシングルをリリースした。続いて1964年にポート・レコードからリリースとなった「Crying in the Chapel」(ダレル・グレン、オリオールズのカバー)は、直後の1965年にエルヴィス・プレスリーがシングル・リリースして大ヒットさせたため、フランのシングルは注目されずに終わっている。彼女のシングルは1970年になってから、ジョージー・レコードが再発リリースしているが、それでも大きな売り上げには繋がっていない[3]。こフランは「You Can't Stop Me」、「A World Without You」と立て続けにポート・レーベルからシングルをリリースした。前者はサミー・ロウがアレンジしたことにより音が広がりを見せ、後者はボビー・ダーリンが提供した楽曲であったが、いずれも十分な成功とは言えない結果に終わった。その後同レーベルからもう一枚「Any Day Love Walks In」をリリースした後レコーディングからは遠ざかり、ライヴを中心に活動を続けた[2]

1967年、彼女はルーレット・レコードと契約し、ブルック・ベントンの「So Close」をシングル・リリースしたものの、これも成功とはならず、この他のレコーディングはリリースされずに終わった。レコードのヒットがないことに嫌気がさしていた彼女は1970年代に入ってからは地元ルイジアナのクラブへの出演に活動を限定し、レコードは出さなくなった。

1982年、フランは1950年代にデュー・ドロップ・インで会ったことがあったセッション・ギタリストのクラレンス・ホリモンと再会し、翌年に結婚。ホリモンの地元のテキサスへ移住した。デュオでのコンサートを経て、1992年にブラックトップ・レコードから『Soul Sensation』でフラン&ホリモンとしてアルバム・デビューを果たした[2]。フランは1993年にはギター・ショーティーのアルバム『Topsy Turvy』に客演もしている[4]。フラン&ホリモンは1996年にロングビーチ・ブルース・フェスティバルに出演するなど、活発に活動している。1998年には来日公演も行った[5][6]

ブラックトップからもう1枚1994年に『See There!』を1994年にリリース。続いて2000年にはJSPにレーベルを移して『It’s About Time』をリリースしているが[2]、同年ホリモンが急逝しフランはラファイエットに戻った。彼女は2001年10月、ソロ名義では初のアルバム『Fran-tastic』をニューオーリンズでレコーディング、翌年にリリースした[7]

彼女は2015年のブルースのドキュメンタリー映画『I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルース』(日本での劇場公開は2018年)に出演している[8][9]

2013年、フランは 米国芸術基金(NEA)のナショナル・ヘリテージ・フェローシップを受賞した。これは日本の人間国宝に相当し、米国においてフォーク、トラディショナルのアートに対して与えられる最高の栄誉である[10]

2020年、フランは18年ぶりの新録アルバムとなる『All Of My Life: The Saint Agnes Sessions』をリリースした。リリース元は米国ジャズ財団(Jazz Foundation of America)で、LPのみのリリースであった。同年、彼女のドキュメンタリー映画『Carol Fran: Tous Les Jours C'est Pas La Même, Every Day Is Not The Same』がクーリー・プロダクションズ(Coulee Productions)より公開となっている[11][12]

フランは2021年9月1日、新型コロナウイルス感染症の合併症により、ルイジアナ州ラファイエットのオクスナー・ラファイエット・ジェネラル・メディカル・センターにて死去した。87歳だった[13][14][15]

ディスコグラフィー

アルバム

タイトル レコードレーベル
1992年 『Soul Sensation!』(ホリモンとの共作)  Black Top
1994年 『See There!』(ホリモンとの共作) Black Top
1995年 『Women In (E)motion Festival』(ホリモンとの共作) Tradition & Moderne
2000年 『It's About Time』(ホリモンとの共作) JSP
2002年 『Fran-tastic』 Sound of New Orleans
2020年 『All Of My Life: The Saint Agnes Sessions』 [LP] Jazz Foundation of America

[1][7][16]

コンピレーション・アルバム

タイトル レコードレーベル
2005年 『The Complete Cala, Port and Roulette Recordings』 Stateside (ベティ・ラヴェットとのカップリング)
2005年 『Our New Orleans: A Benefit Album for the Gulf Coast[17] Nonesuch (1曲 - "Tou' Les Jours Ç'est Pas la Même")

シングル

曲名 レコードレーベル
1957年 「One Look At You Daddy」/「Emmitt Lee」 Excello
1958年 「I Quit My Knockin'」/「If We Should Meet Again」 Excello
1959年 「Knock Knock」/「Emmit Lee's Come Back」 Excello
1960年 「One More Chance」/「Hold Me」 Excello
1962年 「So Tired Of Crying」/「Just Because You're Mine」 Lyric
1963年 「The Great Pretender」/「Broken Hearted」 Lyric
1965年 「Crying In The Chapel」/「I'm Gonna Try」 Port
1965年 「It’s My Turn Now」/「You Can't Stop Me」 Port
1965年 「A World Without You」/「I Know」 Port
1966年 「Any Day Love Walks In」/「Just A Letter」 Port
1967年 「So Close」/「Out Of Sight Out Of Mind」 Roulette
1969年 「Yesterday’s Mornings」/「The Night Has A Thousand Eyes」 RDL
1985年 「Runnin' & Hidin'」/「 (I Caught Joe Pete) Tryin' To Mess With My Toot Toot」 Master-Trak

脚注

  1. ^ a b c Carol Fran”. Soulfulkindamusic.net. 2011年9月14日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Jason Ankeny. “Carol Fran”. Allmusic. 2025年4月7日閲覧。
  3. ^ Carol Fran Discography - USA - 45cat”. 45cat. 2025年4月7日閲覧。
  4. ^ Topsy Turvy - Guitar Shorty Credits”. AllMusic. 2025年4月7日閲覧。
  5. ^ パークタワー・ブルース・フェスティバルの歴史”. Park Tower Blues Festival. 2025年4月7日閲覧。
  6. ^ 妹尾みえ, ed (2003-04-10). “来日ブルースマン全記録1971-2002” (日本語). black music review 2003年5月号増刊号 (ブルース・インターアクションズ): 189. 
  7. ^ a b Hannusch, Jeff. “Carol Fran - Fran-tastic”. Soundofneworleans.com. 2006年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月7日閲覧。
  8. ^ I AM THE BLUES -アイ・アム・ザ・ブルース 公式サイト”. Curioscope. 2025年4月7日閲覧。
  9. ^ "Here Are 6 Must-See Music Films at Hot Docs". Exclaim!, 日付=2016年4月19日, 2025年4月7日閲覧
  10. ^ Carol Fran - Swamp Blues Singer & Pianist”. www.arts.gov. National Endowment for the Arts. 2025年4月7日閲覧。
  11. ^ Louisiana Music Factory” (2021年10月21日). 2025年4月7日閲覧。
  12. ^ Coulee Productions” (2021年10月21日). 2025年4月7日閲覧。
  13. ^ Montgomery, Darla (2021年9月1日). “Acadiana's soulful music legend Carol Fran, has died”. KLFY (Lafayette, Louisiana). https://www.klfy.com/local-music-spotlight/acadianas-soulful-music-legend-carol-fran-has-died/ 2025年4月7日閲覧。 
  14. ^ McCree, Cree (2021-08-09). “Jazz Fest Canceled; New Orleans Reacts”. Downbeat (Chicago, Illinois). https://downbeat.com/news/detail/jazz-fest-canceled-new-orleans-reacts 2025年4月7日閲覧。. 
  15. ^ Wirt, John (2021年9月2日). “'Once you met her, you never forgot her.' Louisiana blues artist Carol Fran dies at 87”. The Advocate (Lafayette, Louisiana). https://www.theadvocate.com/baton_rouge/entertainment_life/music/article_8ebdde46-0c2b-11ec-bab3-ff0c27269ff2.html 2025年4月7日閲覧。 
  16. ^ Carol Fran Album Discography”. AllMusic. 2025年4月7日閲覧。
  17. ^ Steve Leggett. “Our New Orleans: A Benefit Album for the Gulf Coast - Various Artists & Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. 2025年4月7日閲覧。

外部リンク




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