カトリック同盟_(フランス)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > カトリック同盟_(フランス)の意味・解説 

カトリック同盟 (フランス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/07 05:18 UTC 版)

カトリック同盟の武装行進

カトリック同盟(かとりっくどうめい, La ligue catholique または La Sainte Ligue, La ligue)は、16世紀フランスユグノー戦争期に形成されたカトリック側の同盟。かつてカトリックに対し、日本の歴史用語で「旧教」という言葉があてられたことがあるため、「旧教同盟」とも呼ばれる。

経緯

1576年5月6日のボーリューの勅令(l'Édit de Beaulieu)がプロテスタントの側に好意的であったため、これに対する反感がカトリックの側に生まれた。これがカトリック同盟結成の直接的な契機となった。当初の同盟は、時の国王アンリ3世がカトリックの保護者として振舞うのであれば、国王の従順な臣下であることに異存はないとする立場であった。

同年11月にはパリでの同盟をギーズ公アンリが組織し、その指導者となった。国王はこのことに脅威を感じパリから遠ざけようとしたが、失敗に終わった。また、1582年以降スペイン国王フェリペ2世はカトリック勢力の強大化とフランス王権の弱体化を目論んで、カトリック同盟に資金的援助を与えていた。

1588年12月23日のブロワ城における三部会の席上、ギーズ公アンリがアンリ3世の狂信的支持者(この時点で国王自身はブーローニュをカトリック同盟に委ねるなど譲歩をしていた)によって殺害英語版されると、カトリック同盟が支配的であった地域(ギーズ公の封土であったロレーヌのほか、シャンパーニュブルゴーニュブルターニュ、そしてパリなど)では、アンリ3世に対する暴動が起こった。しかしその国王自身、1589年8月2日にはカトリック同盟派のドミニコ会ジャック・クレマンによって殺害された。

新たな国王アンリ4世は、カトリック同盟が支持していたシャルル・ド・ブルボン枢機卿(アンリ4世の叔父に当たる)よりも王位継承順位が高かったが、プロテスタントであったため、カトリック同盟は猛反発した。1590年3月14日のイヴリーの戦いで敗れ、2度にわたるパリ包囲に遭っても、カトリック同盟は、アンリ4世がプロテスタントを棄ててカトリックに改宗するまでは武装解除をしなかった。1594年にアンリ4世がシャルトルで戴冠し、カトリック同盟の残党を1595年6月5日のブルゴーニュにおける戦いで撃破したとき、カトリック同盟は決定的な終局を迎えた。この時期は絶対王政到来前のフランス王権にとっての最大級の危機のひとつであったとされている。

この時期はカトリック同盟の側と反カトリック同盟の側が、文書を用いて大規模な中傷合戦を行った時期でもある。このため、フロンドの乱におけるマザリナードフランス革命期の文書合戦と並び、フランスの出版史上では重要な時期である。フランスでは、この時期だけに絞った浩瀚な出版史研究書なども出されている。

脚注

参考文献

  • Denis Pallier, Recherches sur l'imprimerie à Paris pendant la Ligue, 1585-1594, Librairie Droz/ Librairie Champion, 1975, 561p.(ドニ・パリエ『カトリック同盟期パリの出版業に関する研究』日本語訳未出版)

関連項目


「カトリック同盟 (フランス)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カトリック同盟_(フランス)」の関連用語

カトリック同盟_(フランス)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カトリック同盟_(フランス)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカトリック同盟 (フランス) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS