カイロ-イノシトールとは? わかりやすく解説

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カイロ-イノシトール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/07 05:36 UTC 版)

カイロ-イノシトール[1]

D-Chiro-Inositol

L-Chiro-Inositol
識別情報
CAS登録番号 643-12-9 (D体), 551-72-4 (L体)
ChemSpider 10254647 
日化辞番号 J9.771C
KEGG C19891 (D体)
C06151 (L体)
ChEBI
特性
化学式 C6H12O6
モル質量 180.16 g mol−1
融点

230 °C, 503 K, 446 °F

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

カイロ-イノシトール は、イノシトールの10種あるアイソマーのうちの一つを構成する。インスリンシグナルのセカンドメッセンジャーとして機能する事が明らかにされ、神経組織の伝達と関連するミオイノシトールと並んで臨床的に特に重要な物質である。[2] カイロ-イノシトールは、細胞膜のリン脂質、グリコシルホスファチジルイノシトールの構成イノシトールであり、インスリン代謝作用の伝達へ関与が報告されている。無月経不妊の原因疾患である多嚢胞性卵巣症候群の疾患患者は、体内でのカイロ-イノシトール欠乏が認められるが、D-カイロ-イノシトールの経口補充によって、インスリン抵抗性及び無月経の著明な改善が報告されている。[3][4][5] 二重盲検試験において、D-カイロ-イノシトールを摂取した多嚢胞性卵巣症候群の女性は、対照群と比較して、遊離および総テストステロン値の低下、血圧、インスリン感受性の改善及び排卵の増加が報告されている。[3][4]

カイロ-イノシトールは自然界に存在する天然の物質であるが、蕎麦を除く植物体からは殆ど検出されない。[6] そのため、食品中に含まれるイノシトールからエピメラーゼの作用を経て体内で生合成されている可能性がある。[7]


多い食品

名称 D-chiro-イノシトール
含有量(mg/g)
納豆 17.67[8]
大豆 3.13[8]
蕎麦 2-4[9]

異性体

関連項目

脚注

  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 4883
  2. ^ Larner J (2002). “D-chiro-inositol--its functional role in insulin action and its deficit in insulin resistance”. Int. J. Exp. Diabetes Res. 3 (1): 47–60. doi:10.1080/15604280212528. PMC 2478565. PMID 11900279. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2478565/. 
  3. ^ a b Nestler JE, Jakubowicz DJ, Reamer P, Gunn RD, Allan G (1999). “Ovulatory and metabolic effects of D-chiro-inositol in the polycystic ovary syndrome”. N. Engl. J. Med. 340 (17): 1314–20. doi:10.1056/NEJM199904293401703. PMID 10219066. 
  4. ^ a b Iuorno MJ, Jakubowicz DJ, Baillargeon JP; et al. (2002年). "Effects of d-chiro-inositol in lean women with the polycystic ovary syndrome". Endocrine practice. 8 (6): 417–23. PMID 15251831
  5. ^ Nestler JE, Jakubowicz DJ, Iuorno MJ (2000). “Role of inositolphosphoglycan mediators of insulin action in the polycystic ovary syndrome”. J. Pediatr. Endocrinol. Metab.. 13 Suppl 5: 1295–8. PMID 11117673. 
  6. ^ Fagopyritol B1, O-α-D-galactopyranosyl-(1→2)-D-chiro-inositol, a galactosyl cyclitol in maturing buckwheat seeds associated with desiccation tolerance.
  7. ^ Sun TH, Heimark DB, Nguygen T, Nadler JL, Larner J (2002). “Both myo-inositol to chiro-inositol epimerase activities and chiro-inositol to myo-inositol ratios are decreased in tissues of GK type 2 diabetic rats compared to Wistar controls”. Biochem. Biophys. Res. Commun. 293 (3): 1092–8. doi:10.1016/S0006-291X(02)00313-3. PMID 12051772. 
  8. ^ a b 佐々原; et al. (2008年). 発酵食品のD-chiro-inositolの測定. 研究報告 (Report). pp. 77–78. ISSN 1346-5236. NAID 80019613253
  9. ^ 由比; et al. (2008年). "ソバにおける D-chiro-inositol 含量の品種間差および個体間差". 東北農業研究 (61): 67–68. ISSN 0388-6727. NAID 120004582272


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