ケテン
エテノン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/11 05:13 UTC 版)
エテノン | |
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別称
Ketene
Carbomethene Keto-ethylene |
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識別情報 | |
3D model (JSmol)
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バイルシュタイン | 1098282 |
ChEBI | |
ChemSpider | |
ECHA InfoCard | 100.006.671 |
EC番号 |
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PubChem CID
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RTECS number |
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UNII | |
CompTox Dashboard (EPA)
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特性 | |
化学式 | C2H2O |
モル質量 | 42.037 g/mol |
外観 | 無色の気体 |
密度 | 1.93 g/cm3 |
融点 | -150.5 °C, 123 K, -239 °F |
沸点 | -56.1 °C, 217 K, -69 °F |
水への溶解度 | 分解 |
溶解度 | アセトン、エタノール、エーテル、芳香族化合物の溶媒、ハロゲン化アルキルに溶ける |
蒸気圧 | >1 atm (20°C)[2] |
屈折率 (nD) | 1.4355 |
熱化学 | |
標準定圧モル比熱, Cp |
51.75 J/K mol |
標準生成熱 (ΔfH⦵298)
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−87.24 kJ/mol |
危険性 | |
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
引火点 | −107 °C (−161 °F; 166 K) |
爆発限界 | 5.5–18% |
致死量または濃度 (LD, LC) | |
半数致死量 LD50
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1300 mg/kg (経口, ラット) |
半数致死濃度 LC50
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17 ppm (マウス, 10 分)[3] |
LCLo (最低致死濃度)
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23 ppm (マウス, 30 分) 53 ppm (ウサギ, 2 時間) 53 ppm (モルモット, 2 時間) 750 ppm (ネコ, 10 分) 200 ppm (サル, 10 分) 50 ppm (マウス, 10 分) 1000 ppm (ウサギ, 10 分)[3] |
NIOSH(米国の健康曝露限度): | |
PEL
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TWA 0.5 ppm (0.9 mg/m3)[2] |
REL
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TWA 0.5 ppm (0.9 mg/m3) ST 1.5 ppm (3 mg/m3)[2] |
IDLH
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5 ppm[2] |
安全データシート (SDS) | External MSDS |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
エテノン(Ethenone)は、C2H2OまたはH2C=C=Oの化学式を持つ有機化合物である。単にケテン(Ketene)とも呼ばれる。最も単純なケテンで、エチノールの互変異性体である。
性質
エテノンは、標準状態では無色の気体で、強い刺激臭を持つ。分子量は42.04、融点は-150.5℃、沸点は-56.1℃である。アセトン、エタノール、エチルエーテル、芳香族炭化水素、有機ハロゲン化合物に可溶である。
生成
エテノンは、実験室では、アセトン蒸気の熱分解によって生成できる[4]。
反応
エテノンは非常に反応性が高く、求核剤として反応してアセチル基を作りやすい。例えば、酢酸と反応して無水酢酸を形成する。
エテノンは、自分自身とも反応し、[2+2]環化付加反応を起こし、ジケテンと呼ばれる環状二量体を形成する。このため、長期間保存することはできない。
毒性
高濃度のエテノンに晒されると、目、鼻、喉、肺等が刺激される。マウス、ラット、テンジクネズミ、ウサギ等を用いた実験で、0.2mg/l(116ppm)の濃度の新しいエテノンに10分間晒されると、小動物は高い確率で死亡することが示された。この発見により、エテノンはホスゲン(0.2-20mg/l)やシアン化水素(0.2-0.5mg/l)と同程度の毒性を持つとされた。小動物の死は肺水腫が原因であり、全体的にはホスゲン中毒と似ているが、進行がより速い[5]。
出典
- ^ “Front Matter”. Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 723. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4
- ^ a b c d NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0367
- ^ a b “Ketene”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH). 2025年9月11日閲覧。
- ^ C. D. Hurd (1941). “Ketene”. Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 1, p. 330.
- ^ H. A. Wooster, C. C. Lushbaugh, C. E. Redeman (1946). “The Inhalation Toxicity of Ketene and of Ketene Dimer”. J. Am. Chem. Soc. 68 (12): 2743. doi:10.1021/ja01216a526.
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