ウルカヌスの鍛冶場_(ヴァザーリ)とは? わかりやすく解説

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ウルカヌスの鍛冶場 (ヴァザーリ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/14 20:27 UTC 版)

『ウルカヌスの鍛冶場』
イタリア語: Fucina di Vulcano
英語: The Forge of Vulcan
作者 ジョルジョ・ヴァザーリ
製作年 1564年頃
種類 銅板油彩
寸法 38 cm × 28 cm (15 in × 11 in)
所蔵 ウフィツィ美術館フィレンツェ

ウルカヌスの鍛冶場』(ウルカヌスのかじば、: Fucina di Vulcano: The Forge of Vulcan)は、イタリアマニエリスム期の画家であり、『画家・彫刻家・建築家列伝』の著者でもあるジョルジョ・ヴァザーリによる1564年ごろの銅板上の油彩画である。作品は1589年以降、または、おそらくそれ以前にフィレンツェウフィツィ美術館にあるトリブーナ (8角形の展示室) に展示され[1]、現在もウフィツィ美術館に所蔵されている[2][3][4]。 なお、ピエル・カンディードによる1565-1567年の複製が、英国のロイヤル・コレクションの一部としてウィンザー城にある。

作品

コジモ1世フランチェスコ1世のメディチ家宮廷の影響を受けた主題と構図は、ヴェッキオ宮殿にあるストゥディオーロ(小さい書斎)の一連の絵画に似ている[2]。それらの絵画のように、本作はヴィンチェンツォ・ボルギーニ (Vincenzo Borghini) によるヴァザーリへの手紙に触発された。その手紙で、ボルギーニはヴァザーリが鍛冶場だけでなく、ミネルバが率いる「特定の美徳のアカデミー」も描くことを勧めた。これは、ヴァザーリがコジモ1世の保護の下で1563年に設立した「アカデミア・デッレ・アルティ・デル・ディゼーニョ (素描芸術アカデミー) 英語版」に言及したものである[2]

絵画の主題は、古代ギリシアの詩人ホメロス叙事詩イーリアス』の1節に触発されている[2]。前景では、火の神ウルカヌスが戦争の神ミネルバに自身が制作したばかりの武具を渡している[5]。 後景の鍛冶場の超自然的な光の中では、優美な裸体の男たちがウルカヌスに倣って仕事をしている[2][4]。男たちの頭上の壁龕には古代の彫像が置かれており、三美神を表している彫像も見えるが、それは絵画、彫刻、建築に言及するものとなっている[2][5]。画面上部中央を舞っている「平和」の擬人像はオリーヴの枝を持っているが、それはメディチ家の指揮の下でフィレンツェが経験した繁栄に言及したものである[2]

脚注

  1. ^ (イタリア語) Gloria Fossi, Uffizi, Giunti, Firenze 2004. ISBN 88-09-03675-1
  2. ^ a b c d e f g Vulcan's Forge”. ウフィツィ美術館公式サイト(英語). 2024年4月15日閲覧。
  3. ^ Catalogue entry” (イタリア語). 2021年9月10日閲覧。
  4. ^ a b ウフィツィ美術館、1994年、111頁。
  5. ^ a b https://www.wga.hu/frames-e.html?/bio/v/vasari/biograph.html 2021年9月10日閲覧

参考文献

  • ルチアーノ・ベルティ、アンナ・マリーア・ペトリオーリ・トファニ、カテリーナ・カネヴァ『ウフィツィ美術館』、みすず書房、1994年 ISBN 4-622-02709-7

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