ウガリト文字 (Unicodeのブロック)とは? わかりやすく解説

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ウガリト文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/10 04:59 UTC 版)

ウガリト文字 (Unicodeのブロック)
Ugaritic
範囲 U+10380..U+1039F
(32 個の符号位置)
追加多言語面
用字 ウガリト文字
主な言語・文字体系
割当済 31 個の符号位置
未使用 1 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
4.0 31 (+31)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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ウガリト文字(ウガリトもじ、英語: Ugaritic)は、Unicodeブロックの一つ。

解説

紀元前14世紀紀元前13世紀ごろに現在のシリア南西部のラス・シャムラにあたる地域で話されていた、アフロ・アジア語族セム語派中央セム諸語に属するウガリット語や、紀元前2300年~紀元前1000年ごろに現在のシリアのハブル川上流域に築かれたミタンニ王国で話されていたフルリ・ウラルトゥ語族に属するフルリ語を表記するためのウガリト文字を収録している。

ウガリト文字は音素文字のうち、ヘブライ文字アラビア文字のように基本的に母音を表記せず、子音字のみで綴られるアブジャドに分類される。ただし、頭子音を持たない母音については独立した音節文字が割り当てられている。また、書字方向についてはヘブライ文字などとは異なり、ラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)である。単語毎に分かち書きされるが、スペースではなく専用の記号U+1039F 𐎟 UGARITIC WORD DIVIDERが用いられる。

字形は他のメソポタミア諸言語で用いられた楔形文字シュメール語アッカド語など)や古ペルシャ文字古代ペルシャ語)などと同じような形状をしているが、音素との対応がこれらの文字体系とは大きく異なるためUnicodeにおいては符号位置を分けられている。

符号位置の順序はおおむね伝統的なウガリト文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン4.0において初めて追加された。

収録文字

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
字母
U+10380 𐎀 UGARITIC LETTER ALPA 音節[ʔa]を表す。 ʾa
U+10381 𐎁 UGARITIC LETTER BETA 音素[b]を表す。 b
U+10382 𐎂 UGARITIC LETTER GAMLA 音素[ɡ]を表す。 g
U+10383 𐎃 UGARITIC LETTER KHA 音素[x]を表す。
U+10384 𐎄 UGARITIC LETTER DELTA 音素[d]を表す。 d
U+10385 𐎅 UGARITIC LETTER HO 音素[h]を表す。 h
U+10386 𐎆 UGARITIC LETTER WO 音素[w]を表す。 w
U+10387 𐎇 UGARITIC LETTER ZETA 音素[z]を表す。 z
U+10388 𐎈 UGARITIC LETTER HOTA 音素[ħ]を表す。
U+10389 𐎉 UGARITIC LETTER TET 音素[tˤ]を表す。
U+1038A 𐎊 UGARITIC LETTER YOD 音素[j]を表す。 y
U+1038B 𐎋 UGARITIC LETTER KAF 音素[k]を表す。 k
U+1038C 𐎌 UGARITIC LETTER SHIN 音素[ʃ]を表す。 š
U+1038D 𐎍 UGARITIC LETTER LAMDA 音素[l]を表す。 l
U+1038E 𐎎 UGARITIC LETTER MEM 音素[m]を表す。 m
U+1038F 𐎏 UGARITIC LETTER DHAL 音素[ð]を表す。
U+10390 𐎐 UGARITIC LETTER NUN 音素[n]を表す。 n
U+10391 𐎑 UGARITIC LETTER ZU 音素[ðˤ]を表す。
U+10392 𐎒 UGARITIC LETTER SAMKA 音素[s]を表す。 s
U+10393 𐎓 UGARITIC LETTER AIN 音素[ʕ]を表す。
U+10394 𐎔 UGARITIC LETTER PU 音素[p]を表す。 p
U+10395 𐎕 UGARITIC LETTER SADE 音素[sˤ]を表す。
U+10396 𐎖 UGARITIC LETTER QOPA 音素[q]を表す。 q
U+10397 𐎗 UGARITIC LETTER RASHA 音素[r]を表す。 r
U+10398 𐎘 UGARITIC LETTER THANNA 音素[θ]を表す。
U+10399 𐎙 UGARITIC LETTER GHAIN 音素[ɣ]を表す。 ġ
U+1039A 𐎚 UGARITIC LETTER TO 音素[t]を表す。 t
U+1039B 𐎛 UGARITIC LETTER I 音節[ʔi]を表す。 ʾi
U+1039C 𐎜 UGARITIC LETTER U 音節[ʔu]を表す。 u
U+1039D 𐎝 UGARITIC LETTER SSU 音素不明。外来語に用いられる。 ś
約物
U+1039F 𐎟 UGARITIC WORD DIVIDER 単語境界を表す。

小分類

このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「約物」(Punctuation)の2つとなっている[1]

字母(Letters

この小分類にはウガリト文字のうち、基本的な字母が収録されている。

約物(Punctuation

この小分類にはウガリト文字で用いられる句読点などの約物類が収録されている。

文字コード

ウガリット文字英語版[1][2]
Unicodeコンソーシアムによる公式の表 (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1038x 𐎀 𐎁 𐎂 𐎃 𐎄 𐎅 𐎆 𐎇 𐎈 𐎉 𐎊 𐎋 𐎌 𐎍 𐎎 𐎏
U+1039x 𐎐 𐎑 𐎒 𐎓 𐎔 𐎕 𐎖 𐎗 𐎘 𐎙 𐎚 𐎛 𐎜 𐎝 𐎟
備考
1.^Unicodeバージョン13.0現在
2.^灰色のエリアはコードポイントが割り当てられていないことを示す。

履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
4.0 U+10380..1039D,1039F 31 L2/01-141 Michael Everson (1 April 2001), Proposal to encode Ugaritic in the UCS (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U10380.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年3月31日閲覧

関連項目




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