アーティファクト
アーティファクト・アーチファクト(英: artefact、米: artifact)とは、人工物、工芸品のことである。転じて、科学用語として人為的または技術的な影響によって発生する産物や現象をさす。
考古学
考古学や古人類学などでは、「人工遺物」のことである。通常は単に「遺物」と呼ばれるが、日本語の「遺物」には、道具などのアーティファクトだけでなく、食べ残しなどの自然遺物(remain)も含まれる。「人工遺物」はアーティファクトに限定したい場合に特に使われる表現である。なお、遺物に対し、建造物などの遺構はフィーチャー feature である。
遺物 | 人工遺物 | artifact | 道具、衣類、装身具 など |
自然遺物(遺残) | remain | 種子、食べ残し、排泄物 など | |
遺構 | feature | 建築物、道路 など |
自然物に対して、「人の手が加わったもの」という意味合いがある。例えばただの黒曜石のかけらは自然物だが、石器として人が加工していたことが分かった場合にはアーティファクトと呼ばれる。
その時代に有り得ない技術や知識によって作られた(と思われる)アーティファクトを out of place artifact(s)、略して oopart(s)(オーパーツ)と言う。
ファンタジー
ファンタジー作品などでは、古代文明の方が現在よりも優れている設定が多いことから、遺物の意味から転じ、高度な技術によって作られた強力な道具(魔法の物品)を指すようになった。例えば『指輪物語』に登場する力の指輪(一つの指輪)など。
科学用語としてのアーティファクト
自然科学や社会科学において、人為的または技術的な影響によって発生する産物や現象をアーティファクトという。
情報学でにおけるアーティファクトの例
- 信号処理などで、観測や解析の段階で発生したデータのエラーや信号のゆがみ。偽信号ともよばれる。圧縮アーティファクトも参照。
- インシデントが発生した際に残される痕跡。アーティファクトを分析することで、マルウエアや、攻撃ツールの攻撃方法や通信先を探知することができる[1]。
生命科学・医学におけるアーティファクトの例
- 生物学などで、本来は生物体内に存在せず、固定などの実験操作によって細胞・組織内に構造物が生じることがある。これを人為構造ともいう。
- 心電図では、体動や電気機器などから混入する人工産物(ノイズ)が生じることがある[2]。
- 口腔内のレントゲン撮影では、X線が銀歯などのメタルにあたると、反射してレントゲン画像が乱れることがある[3]。
統計学におけるアーティファクト
- 実際のデータ自体からではなく、データの収集、分析、または解釈の方法から生じる現象。データ分析ツールの特性やモデル、初期条件(初期値)などによって引き起こされることがある。
脚注
- ^ “JPCERT コーディネーションセンター JPCERT/CCについて”. JPCERT/CC. 2025年3月28日閲覧。
- ^ “きれいなホルター心電図をとるには?”. シー・アール・シー. 2025年3月28日閲覧。
- ^ “アーチファクト”. グランプロデンタルクリニック銀座 (2022年2月22日). 2025年3月28日閲覧。
関連項目
- オーパーツ
- 聖遺物
- デジタルアーティファクト
- アーティファクト(IT用語)
- アーチファクトのページへのリンク