アニマル‐スピリット【animal spirit】
読み方:あにまるすぴりっと
企業家の投資行動の動機となる、将来に対する主観的な期待。英国の経済学者ケインズが「雇傭・利子および貨幣の一般理論」のなかで使用した用語。経済活動の多くは合理的動機に基づいて行われるが、その一方で、将来の収益を期待して事業を拡大しようとする、合理的には説明できない不確定な心理によって左右されるとし、その心理をいったもの。「血気」「野心的意欲」「動物的な衝動」などと訳される。
[補説] 米国の経済学者ジョージ=アカロフとロバート=シラーは2009年に発表した共著「アニマルスピリット」の中で、人の心理が世界金融危機に及ぼした影響を分析し、アニマルスピリットを取り込んだマクロ経済学の必要性を説いている。
アニマルスピリッツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 14:16 UTC 版)
アニマルスピリッツ(英: Animal Spirits)は、東京都港区にある日本の独立系ベンチャーキャピタル(VC)。2022年に実業家の朝倉祐介が創業し、2023年1月に1号ファンドを組成した[1]。本社は東京都港区に所在する。
シード〜アーリーステージを中心に、超高齢社会・脱炭素・ディープテックなど、社会課題の解決を目指すスタートアップに投資することを特徴とする[2]。
1号ファンドの最終コミットメントは約60億円で、主要な出資者(LP)には国内のメガバンクや地域金融機関が含まれている[3]。
概要
- 正式名称:アニマルスピリッツ合同会社
- 創業:2022年
- 代表パートナー:朝倉祐介(元ミクシィ代表取締役社長)
- 本社所在地:東京都港区
- 運用資産規模:約60億円(2024年10月時点)[4]
沿革
- 2022年8月 – 朝倉祐介がアニマルスピリッツ合同会社を設立[5]。
- 2023年1月 – 「アニマルスピリッツ1号ファンド」設立。目標規模70–80億円で一次募集を完了[6]。
- 2024年10月 – 1号ファンドが約60億円でファイナルクローズ。投資先は20社に達し、うち複数社がアップラウンド調達を実現と公表[4]。
投資戦略
同社は「未来世代のための社会変革」をミッションに掲げ、以下の3つの重点投資テーマを設定している[7]。
- 国を守る – 超高齢社会の生産性向上、DX、ヘルスケアなど
- 地球を保つ – 脱炭素、循環型経済、Climate Tech など
- フロンティアを拓く – 宇宙開発、生成AI、ブロックチェーンなど
1社あたり数千万円〜5億円を投資し、必要に応じてフォローオン出資も行う。代表の朝倉は、ミクシィ再建やシニフィアンでの投資経験を背景に、「事業家目線の投資」を掲げている[8]。
主な投資先(2025年3月時点)
- クラッソーネ – 解体業務DX(シリーズB以降)
- B4A – 自由診療クリニック向けSaaS(シリーズB)
- Degas – ガーナの農家ファイナンス(シリーズD)
- 将来宇宙輸送システム – 再利用型ロケット開発(シリーズA)
- ラクビル – 事業用不動産管理SaaS(Pre-A)
※その他の投資先については公式サイトを参照。
組織
創業者の朝倉を含むジェネラルパートナー2名に加え、ベンチャーキャピタリスト、コーポレートマネージャーらで構成される少数精鋭のチームで運営されている[9]。メンバーは金融、起業、コンサルティングなど多様なバックグラウンドを有している。
脚注
- ^ “「未来世代のための社会変革」を目指すベンチャーキャピタル・アニマルスピリッツが1号ファンドを設立”. PR TIMES (2023年2月15日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ “スタートアップ市場を蝕む「日本病」の正体とは アニマルスピリッツ代表・朝倉氏に聞く【前編】”. TECHBLITZ (2024年9月2日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ “ゼロボードが24.4億円の資金調達、シニフィアン朝倉氏が新たにファンドを設立”. ダイヤモンド・オンライン (2023年2月17日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ a b “VCアニマルスピリッツ、1号ファンド総額約60億円でファイナルクローズ”. PR TIMES (2024年10月2日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ “About │ アニマルスピリッツ (Animal Spirits)”. アニマルスピリッツ公式サイト. 2025年5月5日閲覧。
- ^ “未来世代には「アニマルスピリッツ」が必要、朝倉氏ら70億円規模のシード・ファンド始動”. BRIDGE (2023年2月14日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ “【対談】観光スタートアップHagino、シードラウンド6000万円の資金調達を実施。アニマルスピリッツ 朝倉氏と観光業の未来を語る|Hagino公式”. note (2025年2月1日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ ““儲かる”構造づくりが「未来世代のための社会変革」への近道”. NewsPicks (2023年11月1日). 2025年5月5日閲覧。
- ^ “Team │ アニマルスピリッツ (Animal Spirits)”. アニマルスピリッツ公式サイト. 2025年5月5日閲覧。
外部リンク
- アニマルスピリッツのページへのリンク