アゴニストによる活性化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 15:32 UTC 版)
血小板内では、血管傷害部位に存在するトロンボプラスチン(組織因子,TF)などの活性化を受けて凝固系の反応が始まる。凝固系第IX因子(クリスマス因子)から外因系経路が、凝固系第XII因子(ハーゲマン因子)によって第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆物質)が活性され内因系経路がそれぞれ始まり、これらの経路によって最終的にトロンビンを産生する。また、傷害された内皮細胞からはADPが放出される。トロンビンやADPは血小板の生理的活性物質として働き、それぞれ特異的な血小板細胞内信号伝達の経路をとおして血小板を活性化する。 トロンビンの細胞内信号伝達経路は、トロンビン受容体を介して行われる。トロンビン受容体はPARsと呼ばれ、このうち血小板に多く存在するものはPAR-1と呼ばれる。PARsは7回細胞膜を貫通した構造を持つGタンパク質共役受容体と呼ばれる種類の受容体である。ただし、この受容体は特殊な構造をしており、トロンビンが直接結合するわけではなく、トロンビンが受容体の構造の一部を分解し、その分解によってむき出しになった受容体の一部分と受容体が反応する。受容体からのシグナルはRhoファミリーGタンパク質やGqなどの複数のGタンパクを介した経路によって血小板の活性化を行うが、詳しい経路はまだわかっていないことも多い。 ADPによる細胞内信号伝達経路は、ADP受容体を介して行われる。ADPの受容体はP2受容体と総称され、このうち血小板には3種類が存在すると考えられている。このうち2つは7回細胞膜を貫通した構造を持つGタンパク質共役受容体と呼ばれる種類の受容体であり、GタンパクのGqとGiを介した反応が起こると考えられている。残りの1つは、P2Xと呼ばれ、ADPの結合によってカルシウムチャネルが開くイオンチャネル型受容体と呼ばれる種類の受容体である。 これらアゴニストによる活性化を受けると、血小板は前述のように形態を変化させ、さらに内部の顆粒を放出して他の多数の血小板を活性化する。
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