むささび・もま事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/25 15:36 UTC 版)
「たぬき・むじな事件」の記事における「むささび・もま事件」の解説
「むささび・もま事件」は、地方では「もま」と呼ばれている禁猟のむささびを捕獲した被告人が訴えられた事件。「たぬき・むじな事件」とは対照的に、1924年4月25日、大審院は被告人に有罪判決を下した(大正13年(れ)第407号)。この判決では、「もま」は「むささび」と同一のもので、「もま」を捕獲することは法律上「むささび」の捕獲として刑罰の対象となるところ、そのことを知らなかったのは「法律の不知」に当たるので、罪を犯す意思なしとは言えない、とした。 たぬき・むじな事件が、この先例である「むささび・もま」事件と逆の判断となった理由は、たぬきとむじなについては、「同じ穴のむじな」という慣用句にも現れているように、当時はたぬきとむじなが一般には別の動物だと考えられていた。そのため、「むじな」を捕まえる意思では、「たぬき」を捕まえる意思(故意)がないとされた。それに対して、「むささび」と「もま」の場合は、行為者の地方で「むささび」のことを「もま」と呼んでいただけ(「むささび=もま」)、すなわち、被告人が「むささび」という名称で呼ばれる動物の外観を知らなかっただけであり、全国的に見れば「むささび」と「もま」が別の動物であるとの認識はなかった(言い換えれば、「もま」という語が全国的に知られていないだけである)。そのため、「もま」を捕まえる認識があれば、一般的に「むささび」を捕まえる意思(故意)を認めることができた。
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