IHG・ANA・ホテルズグループジャパン
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概説
ANAは自社航空旅客路線の就航地に全日空ホテルズとして、ホテル事業を1973年(昭和48年)に設立した子会社「全日空エンタプライズ株式会社」を通じて展開した。かつては日本国内のみならず、就航地とそれ以外の欧米、東南アジア、オーストラリアの複数の都市でも現地ホテル企業とマネジメント契約を締結してチェーン展開していたが、この海外部門が利用客の伸び悩みとコスト高から多くの不採算を抱えたため、1999年(平成11年)よりANAの中期経営計画で海外ホテルズの縮小(マネジメント契約撤退・売却)と、エンタプライズ社に残された各ホテルのオペレーション機能(経営・建物所有・マネジメント)を以下の通りそれぞれ分割し別会社に移管させ、同社は2003年(平成15年)9月に解散した。
- 株式会社ANAホテルズ&リゾーツ
- 1989年(平成元年)設立。全日空ホテルズの運営統括、及び各ホテルのマネジメントを手がける。2006年11月より「IHG-ANA合同会社」へ組織変更。
- IHG-ANA発足までの札幌・東京・沖縄などANA直系のホテル運営企業はANAの子会社であった。
- ANAホテルズマネジメント株式会社
- チェーンホテル経営企業への出資企業として2001年(平成13年)設立。IHG-ANA発足後はIHG-ANA合同会社へ継承した。
- エー・エヌ・エー・プロパティマネジメント株式会社
- 全日空ホテル(一部)の不動産所有企業。1999年設立。後述の城山プロパティーズに売却されたか等は不明。
インターコンチネンタルグループとの合弁化
2005年(平成17年)ごろよりANAは、本業である航空運送業へ経営資源を集中させる狙いから、有益な物件を抱えたホテル事業を同業者へ売却することの検討に入り、2006年(平成18年)10月23日にインターコンチネンタルホテルズグループとの提携で合意したと発表した。合弁のスキームは、
- 「ANAホテルズ&リゾーツ」を、2006年(平成18年)11月30日に「IHG・ANAホテルズグループジャパン合同会社」 (LLC) に組織変更し、旧 株式会社全日空ホテルズ&リゾーツの組織は新会社に吸収された。2006年(平成18年)12月1日付で増資を行い、IHG74%、ANA25%、IHG・ANA・ホテルズホールディングス株式会社(IHG66%、ANA34%出資)1%の出資持分とする[PR 2]。
- これによってANAとの関係を維持しつつ、IHGがホテルズ運営の実権を握る形となった。
- 2007年4月1日に旧東京全日空ホテルのANAインターコンチネンタルホテル東京への共同ブランド化を皮切りに、2017年(平成29年)12月までに29のホテルが全日空ホテルとIHGの「インターコンチネンタル」、「クラウンプラザ」あるいは「ホリデイ・イン」と共同ブランド化され、最後まで残った松山全日空ホテルも2018年(平成30年)11月にリブランドされ、「ANAホテル(全日空ホテル)」ブランドは消滅した。
外資系投資銀行への自社系ホテル売却
IHG-ANA体制となった翌年の2007年(平成19年)4月に、ANAが直系(ANAグループ)として経営にあたった13ホテルの不動産物件と運営企業をモルガン・スタンレーへ売却し、B787を中心とした新機材投入などの設備投資資金に充当することを発表し、同年6月までにモルガン・スタンレーの特定目的会社である有限会社城山プロパティーズへ2813億円で売却した。日本国内の不動産売買金額としては過去最大規模で、1500億円程度の簿価を差し引いた売却益は約1300億円に上り、実体経済や不動産証券化ビジネスが好景気であったことが反映されている。
買収に伴い、モルガン・スタンレーが買収した各ホテルの運営企業はモルガン・スタンレー系のパノラマ・ホスピタリティが新規に設立した「株式会社パノラマ・ホテルズ・ワン」へ一旦は一本化されることになったが、その後は株式会社パノラマ・ホテルズ・ワン、株式会社ホライズン・ホテルズ、株式会社セントラル・ホテルズの3社に分社化された。モルガン・スタンレー系の施設は順次売却による資本撤退が進められ、2015年7月に株式会社ホライズン・ホテルズを星野リゾートへ売却した[1]のをもって、他の運営企業への譲渡が完了した。
出典
- ^ “星野リゾート、4つのANAクラウンプラザホテルを買収”. 日本経済新聞. (2015年7月27日) 2015年7月27日閲覧。
- ^ ANAクラウンプラザホテル千歳、新館を4月28日にオープン 新設レストランもTraicy(2017年1月26日)2017年1月29日閲覧
- ^ “成田に10番目の大型ホテル完成”. 千葉日報 (千葉日報社). (1989年6月20日)
- ^ “「ANAクラウンプラザ」に名称変更 成田全日空ホテル”. 千葉日報 (千葉日報社). (2007年12月18日)
- ^ 英インターコンチ、新宿に新ブランドホテル 日本経済新聞 2018年7月19日
- ^ 箱根に日本初進出ブランド、「ホテルインディゴ」 英インターコンチ 交流型に 日本経済新聞 2017年11月22日
- ^ IHG ホテルズ&リゾーツ、1,000 室を持つ由緒あるホテルとの契約締結を予定している旨の発表、大阪にヴィニェット コレクションが誕生 - IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2023年1月20日(2023年1月22日閲覧)
- ^ “インターコンチネンタル別府 8月1日にオープン”. 大分合同新聞. (2019年4月18日). オリジナルの2019年4月20日時点におけるアーカイブ。 2019年4月20日閲覧。
- ^ “エリザベス女王ら利用、京都の老舗料亭に高級ホテル 英大手が24年中に開業”. 京都新聞. (2021年8月10日)
- ^ “山形「ホテルキャッスル」閉館へ 建物老朽化、年内限り”. 山形新聞 (2023年1月17日). 2023年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月18日閲覧。
- ^ 朝日新聞 2001年10月23日付記事
広報資料・プレスリリースなど一次資料
- ^ ANAホールディングス株式会社 2021/3期 有価証券報告書 p.11
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ “ANAホリデイ・イン札幌すすきの、2014年4月21日(月)にリブランドオープン”. IHG・ANA・ホテルズグループジャパン (2014年4月21日). 2014年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月12日閲覧。
- ^ “2022 年 2 月 25 日、ANA インターコンチネンタル安比高原リゾート、本日開業” (PDF). ANA IHG Hotels (2022年2月25日). 2023年1月7日閲覧。[リンク切れ]
- ^ インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG) 日本初上陸のラグジュアリー・ブティックホテル・ブランドとなる「キンプトン東京・新宿」を2020年開業 IHG 2018年7月19日
- ^ “2020年春、国内2軒目となるホリデイ・インリゾートを黒部ダム・白馬エリアに開業”. IHG (2019年4月3日). 2019年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月9日閲覧。
- ^ 『名鉄犬山ホテルを再開発、中部圏初「ホテルインディゴ」開業 ~インターコンチネンタルホテルズグループと提携~』(PDF)(プレスリリース)名古屋鉄道、2018年6月4日。 オリジナルの2018年6月5日時点におけるアーカイブ 。2018年6月25日閲覧。
- ^ “都心からわずか1時間の非日常リゾート「ホテルインディゴ軽井沢」が2022年2月17日開業” (PDF). ホテルインディゴ軽井沢 (2022年2月17日). 2023年1月7日閲覧。
- ^ “【ホリデイ・イン大阪難波】2016年11月1日(火)にリブランドオープン”. dot. (2016年11月1日). 2016年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月26日閲覧。
- ^ 『IHGホテルズ&リゾーツ、プレミアムホテルブランドvocoの日本初進出を発表 2023年に「voco大阪セントラル」を開業』(プレスリリース)IHG・ANA・ホテルズグループジャパン、2022年6月22日 。2022年6月30日閲覧。
- ^ 日本初の「ヴィニェット コレクション」誕生に向けて、リーガロイヤルホテル(大阪)がIHG ホテルズ&リゾーツに加盟 - IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2023年7月18日(2023年8月10日閲覧)
- ^ “ANAクラウンプラザホテル宇部、12月1日より営業開始 国内で12軒目のANAクラウンプラザホテルとして、国内ネットワーク拡大へ”. IHG・ANA・ホテルズグループジャパン (2011年12月1日). 2012年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月26日閲覧。
- ^ “ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル、1月23日より営業開始 国内で13軒目のANAクラウンプラザホテルとして、国内ネットワーク拡大へ”. IHG・ANA・ホテルズグループジャパン. 2012年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月26日閲覧。
- ^ “リブランドについてのご案内”. 青島リゾート. 2014年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月21日閲覧。
- ^ 『美らSUNビーチエリアに沖縄県内3軒目となるインターコンチネンタルが2023年に開業』(PDF)(プレスリリース)IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社、2019年9月11日 。2021年3月2日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 『当社連結子会社 株式会社ホテルWマネジメントとIHG Japan Manegement 合同会社(インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ)との ホテル運営委託契約締結に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)ウェルス・マネジメント株式会社、2020年2月10日 。2021年3月2日閲覧。
- ^ 『当社連結子会社 株式会社ホテルWマネジメントとIHG Japan Manegement 合同会社(インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ)との ホテル運営委託契約締結に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)ウェルス・マネジメント株式会社、2020年12月8日 。2021年3月2日閲覧。
- ^ 『当社連結子会社 株式会社ホテルWマネジメントとIHG Japan Manegement 合同会社(インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ)との ホテル運営委託契約締結に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)ウェルス・マネジメント株式会社、2020年12月22日 。2021年3月2日閲覧。
- ^ IHGホテルズ&リゾーツ、森トラスト株式会社とパートナーシップ契約を締結 2024年、「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」を開業 - IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2023年5月24日(2023年5月25日閲覧)
- ^ IHGホテルズ&リゾーツ、2025年秋に「インターコンチネンタル札幌」を開業 - IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2023年5月18日(2023年5月25日閲覧)
- ^ IHGホテルズ&リゾーツ、サムティ株式会社と運営受託契約を締結 2027年、「voco 広島」を開業 - IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2024年3月27日(2024年3月28日閲覧)
- ^ 『ANA クラウンプラザホテル稚内、4 月 23 日(水)より営業開始』(PDF)(プレスリリース)ANAクラウンプラザホテル稚内、2014年4月23日 。2014年4月24日[リンク切れ]閲覧。
- ^ 全日空ゲートタワーホテル大阪の送客業務提携契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年7月1日[リンク切れ]
- ^ 全日空ゲートタワーホテル大阪の運営受託契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年(平成23年)6月30日[リンク切れ]
- ^ a b c フランチャイズ契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年10月31日[リンク切れ]
- ^ フランチャイズ契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2012年12月25日[リンク切れ]
- ^ ANAハーバーグランドホテルシドニー 売却に向け契約締結 ANA NEWS 2002年8月8日付
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