龍樹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/31 15:22 UTC 版)
著作
- 中論 (Mādhyamaka Kārikā) うち「頌」 - 説一切有部を代表とする実在論を否定し、世俗においては、すべてのものは実体として認識することはできず、単に言葉によって施説されたものであると説く(「有」または「無」または「有無」または「非有非無」)。勝義においては、それらすべての言語活動すら止滅する(「有」または「無」または「有無」または「非有非無」において、その全ての否定)。この主張を受け継いだのが中観派である。
- 廻諍論(えじょうろん、Vigrahavyāvartanī)
- 空七十論 (Śūnyatāsaptati)
- ヴァイダリヤ・スートラ (Vaidalya-sūtra)
- ヴァイダリヤ論 (Vaidalya-prakaraṇa) - 「ヴァイダリヤ・スートラ」に対する自注。
- 十二門論 - 真偽問題が未解決。
- 大智度論 - 真偽問題が未解決。『二万五千頌般若経』系統の般若経典に対する百巻に及ぶ注釈書である。
- 十住毘婆沙論 - 真偽問題が未解決。大乗菩薩の階位について論述している。なおこれに含まれる「易行品」は、浄土真宗において称名による住不退転の根拠とされ、聖典とされている。
- 宝行王正論 (Ratnāvalī)
脚注
参考文献
- 寺本婉雅「(九)古龍樹の出生地」 『新竜樹伝の研究 ; On the history of Nagarjuna II.』内外出版、1926年、117-124頁。
- 中村元「實相」 『広説佛教語大辞典』中巻、東京書籍、2001年6月、701頁。
- 改訂版 中村 元 『広説佛教語大辞典』(縮刷版)東京書籍、2010年7月。ISBN 978-4-487-73174-9。
- 中村元 『龍樹』講談社〈講談社学術文庫1548〉、2002年6月10日。ISBN 4-06-159548-2。
- 中村元ほか 編 『岩波仏教辞典』(第二版)岩波書店、2002年10月。ISBN 4-00-080205-4。
関連文献
- 石飛道子 『ブッダと龍樹の論理学 縁起と中道』サンガ、2007年10月。ISBN 978-4-901679-52-7。(新装版 2010 ISBN 978-4-904507-54-4、文庫版 2012 ISBN 978-4-905425-32-8)
- 瓜生津隆真 『龍樹(ナーガールジュナ) 空の論理と菩薩の道』大法輪閣、2004年10月。ISBN 4-8046-1212-2。
- 立川武蔵 『「空」の構造 『中論』の論理』第三文明社〈レグルス文庫169〉、1986年11月。ISBN 4-476-01169-1。
- 龍樹 『龍樹論集』梶山雄一・瓜生津隆真 訳注(新訂版)、中央公論社〈大乗仏典14〉、1974年1月。ISBN 4-12-401924-6。(文庫版 2004 ISBN 978-4-12-204437-1) - 収録:「中論」以外の「六十頌如理論」・「空七十論」・「廻諍論」・「ヴァイダルヤ論」・「宝行王正論」・「勧誡王頌」・「大乗二十頌論」・「因縁心論」8編を収録。
- 龍樹 『中論 縁起・空・中の思想』 上、三枝充悳 訳注、第三文明社〈レグルス文庫158~160〉、1984年3月15日。ISBN 978-4-476-01158-6。
- 三枝充悳 『中論偈頌総覧(ちゅうろん げじゅ そうらん)』第三文明社、1985年12月。ISBN 4-476-09011-7。
- 三枝充悳 『龍樹・親鸞ノート』(増補新版)法蔵館、1997年3月。ISBN 978-4-8318-7147-3。
- Nagarjuna (1995). The fundamental wisdom of the middle way: Nagarjuna's Mulamadhyamakakarika. Garfield, Jay L.. Oxford University Press. ISBN 0-19-509336-4 - チベット語訳からの英訳。
- Nagarjuna (2011). The fundamental wisdom of the middle way: Nagarjuna's Mulamadhyamakakarika. Gudo Wafu Nishijima, ブラッド・ワーナー (Paperback ed.). Monkfish Book Publishing. ISBN 978-0-9833589-0-9 - 道元の思想に基づいて解釈した禅僧愚道和夫による新訳。
注釈
出典
- ^ 「ふほうのはっそ【付法の八祖】」 - 大辞林 第三版
- ^ 「龍樹」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
- ^ a b 「龍猛」(小野塚幾澄) - 日本大百科全書(ニッポニカ)
- ^ 岩波仏教辞典 第二版, p. 438.
- ^ 真宗新辞典, p. 213.
- ^ 真宗新辞典, pp. 508–509.
- ^ 広説佛教語大辞典 縮刷版 2010, p. 685.
- ^ 大正新脩大藏經テキストデータベース『淨土高僧和讃』龍樹菩薩十首 (續諸宗部 Vol.83)
- ^ 直勧; 吉迦夜; 曇曜; 鳩摩羅什; 真諦; 道宣; 志磐; 師錬「淨土 2巻」『八祖列全傳記纂』、秋田屋平左衞門、1680年。NCID BB20345210
- ^ 鳩摩羅什; 真諦『龍樹菩薩傳.婆藪槃豆法師傳』、植村藤右衛門 : 井上忠兵衛、1763年、NCID BB20589361。
- ^ 鳩摩羅什; 真諦『馬鳴菩薩傳 ; 龍樹菩薩傳 ; 龍樹菩薩傳別本 ; 提婆菩薩傳 . 婆藪槃豆傳』、支那内學院、1932年、NCID BA87507515
- ^ 中村 2002, p. 19.
- ^ 寺本 1926, pp. 117–124.
- ^ 中村 2002, pp. 33–34.
- ^ 梅原 2006, pp. 196–197.
- ^ 広説佛教語大辞典 2001, p. 701.
- ^ 広説佛教語大辞典 2001, p. 927.
- ^ 「諸法實相印」 [17]
- ^ a b 寺本 1926, pp. 1–5.
- ^ a b 中村元 2005, pp. 52–53.
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