飲料水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 14:09 UTC 版)
飲料水
飲料水は病原微生物や有毒物質を含まず[1]、無味・無臭・透明が求められ[1]、一般に水道水、湧水、流水、井戸水など[1]を用いる。
飲むことができる水を確保しておくことは大切である。人は水を飲まずにいられるのは、一般的にはせいぜい4~5日程度だと言われている。安全な飲み水を確保することは、古の時代から重要な課題であった。病原体で汚染された飲み水を飲むと、それに感染することによってさまざまな病気にかかる。赤痢やコレラの大流行は、しばしば、不適切な水を飲用に用いたことで起きている。有毒物質を含んだ水を飲むことで、さまざまな障害が生じる。
世界の様々な地域の生水は概して飲料水としては使えない。熱帯地方では河川の水が病原微生物を含んでいることは多い。水道で運ばれてきて蛇口から出てくる水でさえそうである。地元の住民ならばかろうじて耐えられる場合でも、旅行者には危険な場合もあり得る。病原微生物を死滅させるためには少なくとも一旦煮沸する必要がある。
海水は塩分などが多過ぎるため、飲料水としては使えない[2]。無寄港で海上を旅する時や、海で遭難した場合には、飲料水の確保が問題となるため、周囲にありあまるほどの海水が見えているにもかかわらず飲める水が無い、という皮肉な状況に追い込まれてしまう。同様に、内陸の塩水湖の湖水も飲料水としては使えない。火山地帯の湧水も特殊な成分を含み、飲用には適さない場合がある。
飲料水を得るひとつの方法として、植物体内の水を用いるという方法がある。植物体内の水であれば、あらかじめ植物の繊維構造でフィルターがかけられていることが多く、植物自体が生きのびるために菌類の繁殖を防ぐようなシステム(抗菌作用)を持っており、ほぼ無菌に近いからである。例えばココヤシの実の中の水を飲む方法がある。アマゾンには水を大量に含んだ樹木がいくつもあり、ジャングル内を旅する時などには、それを見つけて枝をナタで切り落として傾ければ、飲用に適した水が出てくる。水筒を持ち歩かなくても、そこかしこに飲料水があるため、現地人は俗称で「水筒の木」などと呼んでいる。ウツボカズラの捕食袋の水も飲用にされる(ただし、これの場合は袋が開く前に限る)。昔から、瓜(ウリ)、スイカ、メロン類、リンゴなど水分量が多い果物の果汁を飲料水の代用とする地域もある。
- ^ a b c d e 広辞苑 第六版「飲料水」
- ^ “何故海の水は飲んではいけないか~海の水が塩辛い理由~”. TOKAI. 2020年11月15日閲覧。
- ^ 令和2年版 日本の水資源の現況について 第7章 水資源に関する国際的な取組 108ページ。
- ^ “エタノールの除菌効果 - 日本食品洗浄剤衛生協会”. 日本食品洗浄剤衛生協会. 2021年2月10日閲覧。
- ^ “水質基準項目と基準値(51項目)”. 厚生労働省. 2021年2月10日閲覧。
- ^ “井戸水に水質検査の義務はありますか?”. 公益社団法人 日本地下水学会. 2021年2月10日閲覧。
- ^ “井戸水検査”. 水質検査分析センター. 2021年2月10日閲覧。
- ^ UNHCRの難民援助活動(国連難民高等弁務官事務所公式ホームページ)
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