電気主任技術者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/17 07:06 UTC 版)
電気主任技術者の役割と業務
役割
電気主任技術者は保安規程に基づき事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する監督を行う。
ただし水力発電設備(ダム等)についてはダム水路主任技術者の、火力発電設備及び原子力発電の設備(ボイラ、タービン、原子炉等)並びに燃料電池設備の改質器で最高使用圧力が98kPa以上のものについてはボイラー・タービン主任技術者の監督範囲となり、電気主任技術者の監督範囲からは外れる。
電気事業法・第二款の「自主的な保安」により事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定めるとなっており、経済産業大臣に届け出なければならない。又、法42条4項により事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならないとされている。
業務
保安規程には主任技術者の義務が明確に記載され、選任された主任技術者は経済産業省に届出た保安規程の内容に添い、業務を遂行する事となる。
主な業務は以下のようなものがある。
- 法令に基づいて、所管官庁に提出する書類の内容が、電気工作物に係る保安に関係ある場合に参画すること。
- 所管官庁が法令に基づいて行う検査・審査についての立会い。
- 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の業務を総括するものとする。
- 主任技術者は法令及びこの規程を遵守し、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の業務を誠実に行う。
- 法定自主検査(使用前自主検査、溶接自主検査、定期自主検査)において、検査の指導・監督を行う。
- 電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対し、電気工作物の保安に関し必要な知識及び技能の教育を行う。
- 電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対し、災害その他電気事故が発生した時の措置について年一回以上実地指導訓練を行う。
- 電気工作物の設置、改造等の工事計画を立案するにあたっては、意見を求められた場合に答えること。
- 電気工作物に関する工事の実施に対する監督業務。
- 電気工作物に関する工事が完成した場合について、主任技術者においてこれを検査し、保安上支障ない事を確認する。
- 工事の実施に当たっては、その保安を確保するため別に定める作業心得によって行われなければならない。
- 法令に基づく法定自主検査に関しての監督業務。
- 法令に基づく使用前自主検査に関しての監督業務。
- 電気工作物の保安を確保するための巡視、点検及び測定は別表に定める巡視点検測定。
- 電気工作物の保守業務の指導監督を行う。
- 非常災害発生時において電気工作物に関する保安を確保するための指導監督を行う。
資格区分と選任範囲
電気主任技術者免状には以下の区分があり、それぞれ記載した範囲の電気工作物について選任をうけ、電気的設備の工事、維持及び運用に関する保安監督を行う。
- 第一種電気主任技術者免状
- すべての電気工作物
- 第二種電気主任技術者免状
- 170,000V未満の電気工作物
- 第三種電気主任技術者免状
- 50,000V未満の電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)
注釈
出典
- ^ “Convention on Nuclear Safety National Report of Japan for the Third Review Meeting (暫定訳) 付録 Electricity Utilities Industry Law(電気事業法)Article44,45(44,45条)” (PDF). 日本政府 (2004年8月). 2016年2月13日閲覧。
- ^ “Electricity Business Act(電気事業法) Article44,45(44,45条)”. 日本法令外国語訳データベースシステム. 法務省. 2016年2月13日閲覧。
- ^ a b c 日本放送協会 (2023年7月21日). ““インフラ人材”が足りない | NHK | WEB特集”. NHKニュース. 2023年7月21日閲覧。
- ^ “座談会:「広がる活躍の場」~果たすべき電気技術者の役割とは~ | 活躍する電気技術者達”. www.shiken.or.jp. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “太陽光発電所の長期安全稼働を目指してきめ細かな保安業務を実施 | 活躍する電気技術者達”. www.shiken.or.jp. 2021年5月1日閲覧。
- ^ a b “電気を守る人材が不足する懸念。経産省、業界認知度向上と有資格者活用へ”. 電気新聞ウェブサイト (2018年3月19日). 2021年1月4日閲覧。
- ^ 2020年度 活躍する電気技術者 No 3 (PDF) - 一般財団法人電気技術者試験センター
- ^ “第一種電気主任技術者制度”. 一般財団法人電気技術者試験センター. 2016年2月10日閲覧。
- ^ “第二種電気主任技術者制度”. 一般財団法人電気技術者試験センター. 2016年2月10日閲覧。
- ^ “第三種電気主任技術者制度”. 一般財団法人電気技術者試験センター. 2016年2月10日閲覧。
- ^ a b “試験実施状況の推移”. 一般財団法人電気技術者試験センター. 2016年2月10日閲覧。
- ^ “電気主任技術者試験委員会委員の公表について”. 一般財団法人電気技術者試験センター. 2009年9月8日閲覧。
- ^ “電気主任技術者試験委員会委員の公表について”. www.shiken.or.jp. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “電気主任技術者免状交付申請について(厳重注意)”. 経済産業省原子力安全・保安院関東東北産業保安監督部 (2008年2月18日). 2009年8月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月29日閲覧。
- ^ 日本電気技術者協会(編)『電気技術者』第682号、日本電気技術者協会、2014年2月、p27。
- 1 電気主任技術者とは
- 2 電気主任技術者の概要
- 3 電気主任技術者の役割と業務
- 4 資格取得方法
- 5 他資格の受験資格等
- 電気主任技術者のページへのリンク