錐 (工具) 錐 (工具)の概要

錐 (工具)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 23:05 UTC 版)

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種類

持ち手や切っ先の形でも何種類かにわけられ、それぞれ使われる地域に特徴がある。

持ち手

揉錐

切っ先が錐体で円形断面のものは揉錐(もみきり)と呼ばれる[2]旧石器時代から世界各地で用いられていた[2]

日本では両手で揉む揉錐が発展してきたが、世界的には珍しい部類に入る[1]。日本の弥生時代から古墳時代の遺跡から発見された錐は6角形の断面のものが多く、使用済みの錐は摩耗により円形に近くなっている[2]。日本の揉錐の持ち手は錐柄(揉み柄)と呼ばれ、刃部に近いほど太いテーパー状となっている。円筒もしくは四角柱で、ホオノキの部材が使われる事が多い[1]

なお、揉錐は火を起こすのにも利用された(発火錐#揉錐も参照)。

器械錐

柄に装着した治具を動かし、運動エネルギーを伝達させて切っ先を回転させる錐を器械錐(きかいきり)という[1]

  • 舞錐英語版 - 柄を上下に動かすと軸に巻かれた紐が回転する勢車を付けた錐[2]。造船のときに板に穴をあける作業などでも用いられた[2]。また、日本では神社で火を用いるときに利用された[2]発火錐#舞錐も参照)。
  • 弓錐 - 柄に状の治具を装着し、前後に動作させて錐を回転させる弓錐は、新石器時代に出現し、現代でも中国インド西アジア、北米(イヌイット系民族)などの地域で利用されている。日本では使用例が少なかったとされ出土例も少ない[2]。火を起こすのにも利用された(発火錐#弓錐も参照)。
  • 柄錐 - 15世紀ヨーロッパに現れ、欧米ではポピュラーな錐として利用されている曲がり柄錐(クリックボール)は、持ち手がハンドルの付いたクランク状に屈曲しており、切っ先を一方方向に回転させて穴をあける。

手錐

片手で扱い、回転や突き引きを繰り返し穴をあける錐を手錐(てきり)といい、日本では千枚通し、欧米ではオール(Awl)と呼ばれているものもこれにあたる[1]。 片手回しの錐で、切っ先にらせん状の切り込みを入れ、ねじのような形にしたものはねじ錐(ねじきり)、手回しビット、オーガギムリットなどと呼ばれる[1]

らせん状のもの錐は、ねじれ錐ともいい、古代から巻貝などが使用されフロリダ州などで出土している[2]。日本では古墳時代には鉄製のものがあり、平城京跡からもねじれ錐が出土している[2]

合わせた2枚の木材を貫通させるため、手を使わずハンマーなどで叩いて打ち込む打込み錐というものもあり、の製作などで使用されている。

切っ先

切っ先が三角形の錐は三ツ目などと呼ばれ、主に木ねじや大きい釘用の下穴を開けるために用いられる。切っ先が四角形の錐は四ツ目などと呼ばれ、三ツ目と比較して細く深い穴が空く。他にも円筒状の穴をあける壺錐(つぼきり)、竹材・硬材用の鼠歯錐(ねずみばきり)など、用途に応じた切っ先があり、そのサイズも多様である[1]


  1. ^ a b c d e f g 世界の木工具研究会(編)『図説 世界の木工具事典』 第2版 海青社 2015年 ISBN 978-4-86099-319-1 pp.137-143.
  2. ^ a b c d e f g h i 鹿田 洋「穿孔技術の史的変遷 - 古代における穿孔技術の再現実験を援用して -」『2017年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集』2017年。


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