金銀鈿荘唐大刀 由来

金銀鈿荘唐大刀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 04:37 UTC 版)

由来

東大寺献物帳』の『国家珍宝帳』によると、正倉院には100口の大刀類(御大刀壹佰口)が収められていた。その内訳は、剣3口、懸佩刀9口、大刀44口、黒作大刀41口、横刀1口、杖刀2口である[2]

このうち大刀44口をさらに分類すると、唐大刀13口、大刀23口、唐様大刀6口、高麗様大刀2口となる[2]

『出蔵帳』によると、大刀類100口のうち、天平宝字3年12月26日(760年1月18日)に剣4口、大刀1口が出蔵されている。また、天平宝字8年(764年)9月11日、御大刀48口、黒作大刀40口というものが出蔵されており、恵美押勝の乱での使用によるものと考えられている[3]。剣や大刀の数は『国家珍宝帳』と合わないが、懸佩刀等を含めた数なのかもしれない。

いずれにしろ、大刀類100口のうち、93口が764年までに正倉院から出蔵されており、残り7口のうち、大刀1口、杖刀2口だけが現存し、4口が不明となっている[注 1]。金銀鈿荘唐大刀は現存する大刀1口に相当する。『国家珍宝帳』の大刀類の目録の第4番目に記載されている大刀がそれである。

金銀鈿荘唐大刀一口

刃長二尺六寸四分 鋒者両刃 鮫皮把作山形
葛形裁文 鞘上末金鏤作 白皮懸 紫皮帯執

黒紫羅帯 緋地高麗錦袋浅緑綾裏

「唐大刀」は以前はで制作された大刀をいい、「唐様大刀」はそれを模して日本で制作された大刀をいったものと考えられていたが[4]、刀身や外装(拵え)の製作地を巡って中国なのか日本なのか結論が出ていないため、現在では唐大刀は「唐風の大刀」の意味に解されている[5]


注釈

  1. ^ ただし由来不明の大刀49口が中倉に、大刀3口が南倉に伝来しており、それらに返還された北倉の大刀が含まれている可能性が指摘されている。
  2. ^ 『国家珍宝帳』には、たとえば「銀壮高麗様大刀」の注釈に「銀作環頭」とある。

出典

  1. ^ 金銀鈿荘唐大刀 きんぎんでんかざりのからたち 宮内庁ホームページ 2024年3月23日閲覧
  2. ^ a b 鈴木学術財団 編『大日本仏教全書 第84巻 (寺誌部 2)』鈴木学術財団、講談社、1972年、5-19頁。doi:10.11501/12265504https://dl.ndl.go.jp/pid/12265504 
  3. ^ 帝室博物館 編『正倉院御物図録 第4輯』帝室博物館、1932年、5頁https://dl.ndl.go.jp/pid/8798671 
  4. ^ a b 溝口 1912, p. 647.
  5. ^ 金銀鈿荘唐大刀”. 宮内庁. 2024年3月24日閲覧。
  6. ^ a b c d 正倉院事務所 1965, p. 47.
  7. ^ 黒川 1910, p. 252.
  8. ^ 六角 1932, p. 66.
  9. ^ 室瀬 2011, pp. 6–7.
  10. ^ 西川明彦「正倉院宝物の意匠にみる国際的展開」米田雄介ほか編『正倉院への道天平の至宝』(雄山閣出版、1999)所収、p.132
  11. ^ 公開講座『正倉院の工芸 遣唐使は何を持ちかえったか』”. 奈良女子大学社会連携センター. 2016年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月23日閲覧。
  12. ^ 【紀要33号(1)】金銀鈿荘唐大刀の蒔絵技法を再現」『読売新聞』、2011年7月29日。オリジナルの2020年4月9日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ 蒔絵の源流技法「末金鏤」、正倉院宝物の大刀で再現」『日本経済新聞』、2011年4月23日。オリジナルの2020年7月8日時点におけるアーカイブ。
  14. ^ 高橋, 健自「論説 上古の刀剣」『考古学雑誌 = Journal of the Archaeological Society of Nippon』第2巻第11号、日本考古学会、1912年7月、633-645頁。 






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