遺跡 遺構をともなわない遺跡

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遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 17:18 UTC 版)

遺構をともなわない遺跡

岩陰遺跡トケパラ洞窟の壁画(ペルー

きわだった遺構の検出がみられなくても、岩陰遺跡、洞穴などのように堆積層によって過去の人類の生活の痕跡がみとめられる空間やキルサイトと呼ばれる動物の狩猟および解体場も、過去の人類の生活の痕跡がみとめられる。前者の場合、建築物をつくらなかったものの岩陰や洞穴を住居としたことが明らかだからである。

キルサイトの場合は、動物の化石や狩猟に使用した石器などが出土する。出土した化石や遺物が現地性堆積物[注釈 1]で、化石に解体痕がある、石器に使用痕があるなどの理由によってキルサイトと認められた場合には遺跡と呼ばれる。

岩陰遺跡では、しばしば壁画をともなうことがあり、先史時代の人びとの生活のようすや価値観を窺い知ることができる。

近現代の遺跡

お互いに関連しあう現代の工作物、建築物、土木構造物が集まって一体になっているものも遺跡と呼んでいる。この場合は、歴史家や建築史家の研究対象となることが多く、考古学者の役割はきわめて限定的なものとなることが普通である。

明石藩舞子台場跡神戸市1865年

しかし、必要に応じて、「埋蔵文化財包蔵地」の文化庁次長通知の定義にあるように、「近現代の遺跡」として「地域において特に重要なものを対象と」して痕跡として残されている近現代の工作物、建築物、土木構造物等を調査する場合もある。例えば、第二次世界大戦の痕跡として残された軍事施設や被災施設なども周辺の環境を含めて「戦争遺跡」と呼ぶことがあるが、この戦争遺跡のうち、地下に埋蔵されていて地表面からでは性格がわからない場合(すでに撤去された砲台や防空壕など)は、必要に応じて発掘調査を行って確認する場合がある。

日本における「遺跡」の法的な位置づけ

日本では、学術的に重要で保護すべき遺跡については文化財保護法によって史跡特別史跡の指定がはかられ、その他の遺跡についても、民間開発に伴う工事の際には、「埋蔵文化財包蔵地」として第93条(旧第57条の2)第1項[注釈 2]による工事着工60日前の届出が義務付けられている。遺跡調査から報告書の作成および提出は、すべてこの法律にもとづいて行われるが、文化財保護法には、遺跡を現状保存するための規定がない。そのため、緊急発掘調査がきわめて多い日本においては、研究者や市民から遺跡保存の声があがっても、結局は現状保存がなされず、破壊されてしまう場合も少なくない。


注釈

  1. ^ 流水などの自然的営力によって移動したものでない、また、人為的に動かされたものでない堆積物のこと。
  2. ^ 「土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、前条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日前」とあるのは、「60日前」と読み替えるものとする。」<<参考>>第92条「土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければならない。ただし、文部科学省令の定める場合は、この限りでない。」

出典

  1. ^ 埋蔵文化財(文化庁)


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