赤沢 地理

赤沢

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/05 20:54 UTC 版)

地理

急斜面の山腹に形成された赤沢宿
講中宿のひとつ、江戸屋
講中宿のひとつ、大阪屋
講中宿の軒下にはマネギ板と呼ばれる、各地から訪れる講中の名前を記した板が掲げられている。

赤沢宿は山梨県南西部の早川町南部、南アルプスの南東端に位置し、富士川の支流である早川の更に支流、七面山に源をもつ春木川右岸の標高500~600メートルにかけての急斜面山腹に集落を形成している。東に身延山(標高1148メートル)、春木川をはさんで西に七面山(標高1982メートル)など1000メートル級の山々に囲まれ、後述する身延山から七面山参拝へ向かう参拝ルートの中間に位置している。本来このような急斜面の地形の土地に集落が形成されることは少ないが、江戸期に参拝客の増加に伴い講中宿と呼ばれる宿泊施設や参拝に関連した生業が営まれたことによって、他に例を見ない集落形態を作った。

重要伝統的建造物群保存地区として選定された現在でも、集落へ向かう車道は山肌を這うような見通しの悪い狭い道路で、大型車はおろか乗用車でさえ擦れ違いが困難である。路線バスは麓にある早川町乗合バスのバス停まで行く必要がある(大人の健常者で徒歩15~20分程度)。

歴史

赤沢の草分けとされる家は2軒あり、そのうち1軒は1274年(文永11年)に来住したという伝承を持つ。また、赤沢の檀那寺である日蓮宗長徳山妙福寺は、もともと真言宗の寺であったが、1277年建治3年)、日蓮の高弟、日朗との宗旨問答に負けて日蓮宗に改宗したとの由緒を持つことから、この時期には人家があったことが推測される。

もう1軒の草分けが来住したのは1582年(天正10年)とされ、1591年(天正19年)の検地帳には17戸の家数が記載されている。 検地帳などからは、近世から現代まで戸数30戸前後で推移していることがわかる。 江戸時代の早い段階で、隣の小縄村、高住村と一括されて「小縄高住赤沢村」として公式の文書に登場するようになる。3村一括の状態は、1874年明治7年)に本建村赤沢区となるまで続いた。 1889年(明治22年)には、本建村硯島村との間で組合村が成立したが、1911年(明治44年)には解消。1956年昭和31年)には、本建村の合併により、早川町赤沢となった。

近世後半から第二次世界大戦前までは参詣客が多く、赤沢が最も栄えた時期と考えられる。人々は、参詣客相手の旅館や食堂、案内役・荷物持ちのほか、七面山敬慎院への物資運搬、身延山と七面山との連絡役、林業、木工業などを生業としていた。

景観と建造物

赤沢は、1993年に重要伝統的建造物群保存地区として選定された。地区の種別は山村・講中宿で、選定基準は「(3)伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの」。

山の中腹に位置する山間集落であり、家屋以外に畑や水場なども一体的な景観をなしており、街道の両側に建物が軒を並べるという一般的な宿場町とは違った景観を形成している。

建物の造りとしては、座敷の2辺を囲む周り土間が特徴である。これは、大勢の参拝客が一斉にわらじを脱いで家に上がれるようにとの理由からである。板葺き石置き屋根が一般的であるが、江戸屋、大阪屋といった主な旅館では、大正時代にトタン屋根が導入され、伝建地区においても、その歴史的経緯からトタン屋根が認められている。


  1. ^ 平成27年国勢調査の調査結果(e-Stat)”. 総務省統計局 (2017年1月27日). 2018年9月24日閲覧。
  2. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2018年9月29日閲覧。
  3. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2018年9月29日閲覧。
  4. ^ 読み仮名を「あかざわ」とするサイト、ガイドブック等もあるが、ここではJP日本郵便 郵便番号検索 早川町赤沢での表記により読み仮名を「あかさわ」とする。


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赤沢 (曖昧さ回避)

(赤沢 から転送)

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赤沢・赤澤(あかさわ、あかざわ)




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